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死んでも「アイツ」に勝ちたかった② 長州力 (4)

まだプロレスやってるの?

 藤波さんとのシングル連戦は「名勝負数え唄」と言われてますけど、言いだしたのはマスコミですよね。こうして取り上げられるのはうれしいことですけど、そういうフレーズを付けたことで、(古舘)伊知郎や辻(よしなり)とか実況のアナウンサーたちがプラスになっただけじゃないですかね。試合してる僕たちはただ必死なだけでしたよ。

 デビュー以来の藤波戦の通算成績は、7勝17敗2分4ノーコンテストと大きく負け越している。もっと勝ちたいだろうか。そして、「名勝負数え唄」はいつまで続くのか。

 今、「レジェンド・ザ・プロレスリング」という団体を藤波さんと初代タイガーマスクとでやっています。
 今でも藤波さんとシングルマッチを組まれると、あの頃と同じ感情が出ますね。このマッチメイクは、他の試合とは違うと思われている。いいか悪いかわからないけど、だから今も対戦してるんじゃないのかな。
 対戦成績は大きく負け越してますけど、いいんですよ。いいって言い方はおかしいですけど。ちなみに昨年は、4戦して1勝3敗という成績。いまだに負け越して追っかけてるわけ。彼とのシングル対決は、まだまだやりたいですね。
「60歳にもなってまだプロレスやってるの?」「しんどくないですか?」とよく言われる。しかし「お前に何がわかる?」「お前の仕事はしんどくないのか?」と逆に問いたいですね。確かにしんどいですよ。でもプロの仕事ってのは、何でもしんどいでしょう?
 年齢なんて関係ない。楽な仕事なんてないですよ。
 僕は単純だから今までのスタイルを変えないだけ。トレーニングも最低、週4回は必ずやります。ふだん試合がないから何もしないってことはない。多い時は1週間ずっと道場に行ってトレーニングして家に帰る。その往復。ワンパターンですよ。
 最近、テレビの仕事をよくしますが、正直、スタジオに閉じこもってする仕事はあんまり好きじゃないんだよね(笑)。この退屈な時間をどうやって耐えようかな、これ終わったら旅に行こう、サイパンに行こうとか考えるんですよ。楽しいことばっかり、ガキが考えるようなことばっかりを考えてやりすごす。
 藤波さんとの試合?
 それは、「楽しいこと」には入りませんね(笑)。
 今の目標は、レジェンドの大会を東北で開催すること。復興のお手伝い、元気づけたいなんておこがましいことは言えないけど、プロレスラーとして何らかの形で役立つように取り組んでいきたいですね。これは藤波さんも同じ考えです。
 この間、「藤波さんが引退するまでは引退しない」とテレビで発言したんですが、藤波さんうんぬんじゃなくて、僕の試合で笑いが起きたら、その場でリングシューズぶん投げて帰りますよ。その場で引退ですね。幸いにして今のところ、笑いは起きてません。まあ、やめるのはそんな先のことじゃないと思いますけどね。
 引退しても、また何かをやりますよ。それがプロレスに関係しているかどうかはわからないけど、楽しいこと考えながらね。そこに藤波さんがいるかどうかはわかりません(笑)。

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