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記事全文を読む→夏の甲子園でスターになれなかった男たち(7)かき消された鳥谷敬“二刀流”の記憶
昨年秋に発足した金本知憲新監督に早々とショートのレギュラーの座を確約されたものの、今季前半戦で不振を極め、連続フルイニング出場が667試合で惜しくも途切れた鳥谷敬(現・阪神)。それでも入団以後、阪神不動のショートとして10年以上も君臨し続けたことは、ファンの記憶から消されることはないだろう。
その鳥谷は、早稲田大学野球部時代に神宮球場で華々しい活躍を遂げ、“逆指名制度”で晴れて阪神に入団。鳥谷がスター候補になったのは大学時代で間違いないが、じつは聖望学園(埼玉)時代から強肩強打のショートとしてスカウトからは逸材視されていたのである。そして、強肩ぶりは“投げる”ほうでもチームの貴重な戦力になっていた。広い守備範囲と強肩で内野陣を引っ張るだけでなく、ひとたびマウンドへ上がれば最速143キロのストレートで打者を圧倒。最後の夏となった99年の埼玉県予選では決勝戦の浦和学院戦でも4回から登板し、6回を投げて6奪三振の力投。創部18年目で、春夏を通して甲子園初出場に貢献したのだ。
本番の甲子園でも、鳥谷は当然のように“二刀流”だった。初戦の日田林工(大分)戦。鳥谷は3番打者として3回表にはセンターへの犠牲フライ、5回にはタイムリースリーベースを放ち、2-0と試合を優位に進める。ところがチームは5回裏に四球、パスボールなどで1死二、三塁のピンチに見舞われると、ここでなんとショート鳥谷が痛恨のフィルダースチョイス。さらに続く打者にツーベースを許すなど、一挙4失点を喫してしまった。鳥谷はこの苦しい状況でリリーフ登板。奪三振こそ1つだったものの、最速143キロをマーク。3回2/3イニングを被安打5、自身は暴投による1失点に抑える粘りの投球をみせたが、奮闘報われず、3-5で初戦敗退となってしまう。
大会前に「甲子園で大暴れしたい。アピールしてプロに行きたいんです」と語ったものの、一瞬にして終わった鳥谷。彼の“二刀流”は、後の早稲田大学での活躍で、関係者の脳裏からもかき消されることになる。
(高校野球評論家・上杉純也)
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