社会

苦しまずにあっさりと…「ピンコロ往生」こうすればできる!(1)「ピンコロ死」と「突然死」は違う

20161006j1st

 現代は超高齢化社会。健康で長生きできるならともかく、認知症や寝たきりになって、最後は延命治療で体中に管がつながれ、生きながらえるかもしれない。そんなのはゴメンだ! 目指せ、元気で長生き。倒れたらすぐにお迎えが来る「ピンピンコロリ」。そう、「ピンコロ往生」といきたいものだ!

 12年前、私の父親がぽっくりと死んだ。その時、76歳。年金生活をしていた、ごくフツーの一般庶民である。毎年の健康診断でもこれといった異常値はなく、散歩にも毎日出かける。だが、ある日の夜11時過ぎ、自宅で心臓発作を起こして病院に運ばれ、日付が変わった午前1時48分に臨終を迎えた。アッという間の出来事だった。この鮮やかな去り際を見た私は「自分もこんな死に方をしたい」と思ったものである。

 いわゆる「ぽっくり死」「ピンコロ死」は、ピンピンしていた老人がある日突然、コロッと逝ってしまうことをいう。この「ピンコロ往生」の定義を、私は次のように決めている。

 年齢は70代以上。人生も一段落し、いつ亡くなってもいい状態。元気で介護の世話を受けず、倒れたら最長でも1週間以内に逝く。健康寿命死といってもいい。では「突然死」と何が違うのかといえば、その年齢だ。まだ現役の50代、60代で惜しまれながら死んでしまうのが突然死である。

 ではいったい、どうすれば、こんな「理想的な」最期を迎えることができるのか。私はこれまで約40人のピンコロ往生のデータを取った。その実際のケースを見ながら考えてみることにする。まずは「入浴ピンコロ」の例から。

 80歳の女性・Oさん。威勢のいい江戸っ子で、体で悪いところは膝ぐらい。見た目は60代という感じだった。朝風呂に入ったのに、なかなか出てこない。家族が行くと、風呂場でそのまま息絶えていた。脳出血だった。

 実はピンコロ往生と「風呂」は縁が深いのだ。内科医で作家の米山公啓氏によれば、

「湯船に入った瞬間、一気に血圧が上がって、それから下がっていくんです。だから高血圧の方は脳にダメージを受けて、そのまま溺れてしまったりする」

 特に冬場の、外気と湯船との温度差が大きい時が「狙い目」らしい。

 季節でいうと、年末年始とお盆前後にピンコロ往生を遂げるお年寄りも多い。

 東京都内で夫とガソリンスタンドを経営していた女性・Kさん(90)。スタンドを息子に譲ったあとは、1人で銀座のレストランを食べ歩きするなど元気そのもので、ヘビースモーカーでもある。年の初めに息子夫婦や孫と熱海旅行をするのが恒例で、大みそかには孫たちにお年玉を渡し、旅行の準備も全て済ませた元日の朝、熱海ではなく、あの世に旅立っていった。心不全だった。病院関係者がコッソリと明かす。

「年末年始やお盆は病院も休みに入っていることが多く、緊急の処置が手薄になるんです。ふだんの救急態勢とはだいぶ違いますね」

 つまりは、手薄な応急処置が間接的な要因となってピンコロ死に至る。倒れる病人側の問題ではなく、外的要因によるものなのだ。

◆山中伊知郎(健康ジャーナリスト) 1954年生まれ。著書に「ぽっくり往生するには」(長崎出版)など。友人たちと「ぴんころ倶楽部」なる団体を設立し、ピンコロ往生を実現した人たちのエピソードを集めたブログ「ピンコロ往生伝」を運営。10月4日(火)に新宿・ゴールデン街「ビッグリバー」にて午後7時から「ピンコロ往生を語る会」開催。どうすればピンコロ往生できるかを、徹底的に語り合う。参加者募集中。

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