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Posted on 2012年07月25日 10:54

死んでも「アイツ」に勝ちたかった⑦ ピューマ渡久地 世界王者・ユーリに壮絶TKO負けの悔根(3) 

2012年07月25日 10:54

「負けたら死ぬ」と公約した

 結局、試合が1カ月延びたことで渡久地は走り込みのキャンプに行くことができた。参謀には高校時代からのライバルでもあった鬼塚を迎えた。こうして上々のコンディションを作ることができたのだった。

 歯に衣着せぬ舌戦も試合を盛り上げた。「トグチは闘牛みたいなもので俺は闘牛士」とユーリが言えば、「牛の角でやられる闘牛士もいる」と渡久地もカウンターを飛ばす。

 さらに渡久地が「負けたら死ぬ」などと、破天荒な公約を宣言したこともチャンピオンを刺激した。

 こうして両者の溝は埋めきれないところまで行き着いたと言える。

 試合2日前、渡久地とユーリは記者会見の席で顔を合わせたが、あわや乱闘という騒動を起こした。渡久地が16年前を振り返る。

 もちろん覚えていますよ(笑)。会見が終わって撮影か何かでポーズを取る時だったと思います。向かい合って手を合わせようとしたら、ユーリが拳で押し込むようにしてきたんですよ。一瞬でアッタマに来ましたよ。ふざけんなよと。パフォーマンス?

 そんなわけないじゃないですか。もちろん本気ですよ。止められなければ、あの場で殴っていたと思います。あいつの目が嫌だったんですよ。

 主催者である協栄ジムの故金平正紀前会長が両者の間に割って入ったため乱闘は避けられたが、2人の目は血走り、周囲には殺伐とした空気が漂ったほどだった。

 5年間にわたる因縁に加え、試合2日前の一触即発のハプニング。これだけ材料がそろえば誰もが壮絶な打撃戦を予想するはずだ。

 注目の因縁対決は96年8月26日、東京・両国国技館に1万1000人の観衆を集めて行われた。

 当然、挑戦者が初回から猛烈な攻勢をかけると見られていたが、意外にも渡久地は攻めていかなかった。

 僕は最初から打ち合っていきたかった。パンチには絶対の自信があったし、ガンガン攻めるのが僕のボクシング・スタイルですから。でも、チームの考えは別だった。まずは様子を見て、打っては離れ、打っては離れという出入りのボクシングをするべきだと。

 迷ったけれど、やっぱり負けたくない思いが強いので、そのためには周りが言うようにアウトボクシングがいいのかなと思った。でも、様子を見ているうちに消極的なボクシングになってしまったんです。

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