芸能

元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(7)局内精鋭がしのぎを削る!

20161110m3rd

 ここで、あらためて考えてみる──日本テレビはなぜ強いのか? 私は、その理由の一つを「24時間テレビ」にあると考える。「24時間テレビ」は78年から始まり8月下旬に放送されるが、毎年賛否両論が巻き起こる。今年は裏番組で放映された「バリバラ」(NHKEテレ)が、ある言葉で批判することとなった。

 だが、この大型番組の存在が、日本テレビの番組制作力を高めていることは間違いない。

 実は「24時間テレビ」制作の中心となる、「総合演出」は毎回変わっている。ある年は「世界の果てまでイッテQ!」の担当者が、その翌年は「行列のできる法律相談所」の担当者といった感じだ。

 もちろん「24時間」の総合演出は、誰にでもできるものではない。レギュラー番組で高視聴率を獲得して、実力を認められた者だけが総合演出に指名されるのだ。

 例年8月の放送を終えてからほどない時期に、経営幹部から翌年の担当者が任命される。私は04年の「24時間」で総合演出を担当したのだが、当時の萩原社長から、

「来年はアナタが担当です」

 と伝えられたのは、03年の9月だったと記憶している。来年17年の担当者も、現時点で、すでに決まっているということである。

「24時間」では総合演出の下に、「演出」という肩書で5名ほどのディレクターが集められて、番組の中核スタッフとなる。しかも下につく「演出担当」も、ふだんはゴールデンタイムや帯番組などでは、みずからが総合演出として番組を引っ張る精鋭ぞろいだ。

 日頃はお互い競い合うライバルでもあるのだが、「24時間」に関しては、その年の総合演出をもり立てて、番組の成功に向けて一致団結する。演出の人間はそれぞれ「中継でのチャレンジ」「マラソン」「武道館での企画」「メインパーソナリティの企画」「ネット局企画」などを分担する。総合演出が意図する方向性を意識しながら、責任を持ってコーナーを作り上げていくのである。

 任命後、年明けくらいまでにはメンバーが招集されて、コアメンバーによる会議が始まる。それから8月末の本番まで半年以上、メンバーは通常の番組や特番を作りながら「24時間」を作るのだ。

 精鋭ゆえに、それぞれが独自の「作風」や「演出論」を持っているが、「24時間」では総合演出のやりたい演出を尊重する。その制作過程で、自分とは違う「演出」に触れることができるのだ。

 私自身、総合演出になるまでに99年から4回「演出」を担当した。毎回、当時のヒット番組「とんねるずの生ダラ」「伊東家の食卓」「ズームイン」「笑ってコラえて!」などを手がけていた、総合演出の諸先輩から多くのことを学ばせていただいたものだ。迎える8月の本番では、演出陣はそれぞれ武道館や日テレ本社のサブコン(副調整室)に陣取り、深夜に軽く仮眠を取る以外ほぼぶっ通しで生放送に挑むのである。

村上和彦:(株)プラチナクリエイツ代表。65年生まれ、神奈川県小田原市出身。元日本テレビ放送網制作局専門部長兼演出家・テレビプロデューサー。「ヒルナンデス!」を立ち上げ、「『笑っていいとも!』を終了させた男」として知られる。「スッキリ!!」の視聴率アップや、「24時間テレビ」ほかを総合演出。14年に日本テレビを退職し、フリーランスに転向。現在もテレビ東京「モーニングチャージ」監修ほか番組制作を行っている。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
【鉄道】新型車両導入に「嫌な予感しかしない」東武野田線が冷遇される「不穏な未来」