芸能

後世に伝えたい「ニッポンの大ヒット映画」女優!(2)「由美かおる・同棲時代-今日子と次郎-」

20161215e

 まだ流行語大賞などない時代だが、73年公開の「同棲時代-今日子と次郎-」(松竹)は、若者たちのライフスタイルを変えるほど影響を与えた。主演の由美かおる(66)もまた、女優として大きな分岐点となった。

「皆さんの話題になった映画のポスター、顔だけ強張った表情をしているでしょ? 私は脱ぐのは初めてで、お話をいただいてから1週間も悩みました」

 清純派のアイドルが一糸まとわぬ姿を見せた衝撃は、戦後の芸能史でも特筆に値する。そんな由美が映画と初めて向き合ったのは66年のこと。まだ15歳ながらB86・W58・H86と抜群のプロポーションを誇り、網タイツ姿で「11PM」(日本テレビ系)に西野皓三氏の企画・構成・振付の歌と踊りで出演すると、状況が一変したという。

「局に『あのトランジスタグラマーの子は誰だ?』と電話が殺到したそうです。その中の1本が石原裕次郎さんからで、自分の映画に相手役として出演してほしいと。15歳の新人は、ただただ裕次郎さんのカッコよさに見惚れるばかりでした。映画デビュー作の『夜のバラを消せ』(日活)では、私は兵庫県育ちなので関西弁を標準語に直し、しかも、たくさんあるセリフに苦労しました」

 やがて、数多くのドラマや映画、そして日本中にホーロー看板が貼られた「アース渦巻」のCMなど、若者のアイドルとして活躍。そして主演作で公開されたのが「同棲時代」である。

 上村一夫原作の劇画はベストセラーとなり、大信田礼子が歌った主題歌も大ヒットし、新語である「同棲」は社会現象になった。由美は広告代理店に勤めるOL・今日子に扮し、売れないイラストレーターの次郎(仲雅美)と同棲を始める。やがて2人は、今日子の妊娠・中絶など、若さゆえの不安定な日々を送るようになる。

「私は23歳でしたから『同棲』という経験もありませんし、初めてのベッドシーンもどう演じていいかわからない。山根成之監督に『はい、こっち向いて、1、2、3、4』と言われるまま、バレエのカウントを数えるような形で、無我夢中で演じていました」

 そして立ち姿でヒップとバストを同時に見せたポスターは、街のいたるところで盗難が相次ぐ人気となった。実はその立ち姿は劇中には登場しないが、山根監督の「メルヘンとして撮りたい」という強い希望でポスターに結びついた。

 由美にとって芸能活動の原点である「11PM」からは、同年の「全日本ポスター大賞」を授与された。

 さらに文芸大作として公開された「しなの川」(73年、松竹)も、由美の美しいヌードが話題となった。

「今、考えたらヌードを立て続けによくやったなと思います。ですが、作品の中で必然性があったということです。私には古風な面と、現代的な面の両方があると思っているんです。私が出た作品って、未来を先取りするようなものが不思議と多いんです」

 前出の「同棲時代」はもちろん、小松左京の熱烈なラブコールで出演したドラマ版の「日本沈没」(74年、TBS系)、終末思想を描いた「ノストラダムスの大予言」(74年、東宝)も、そうした一群である。

 その一方で、25年もの間、レギュラー出演を務めた「水戸黄門」(TBS系)のように、安定感のある役どころも定評がある。

「女優としてだけではなく、現在は西野流呼吸法の講演も全国で行っていますし、アコーディオンも練習中。まだまだこれからも新しいことにチャレンジしていきたいです」

 15歳の時のジーンズがそのまま着れる体形の維持も驚異的だ。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    「王座戦」初防衛に王手をかけた「鬼神・藤井聡太」の勝利の方程式は「パイナップル・キノコ抜き・室温20度」

    いくら漫画でも、こんな展開は描けない。将棋の第72期王座戦5番勝負第2局が9月18日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで行われ、午前9時の対局開始からわずか30分で76手まで進む「AI超速将棋」を藤井聡太七冠が制して2連勝。王座戦初…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
派兵10万人超に!万単位の前線戦死者続出で「金正恩斬首クーデター」が勃発/北朝鮮「ウクライナ大派兵」の断末魔【後編】
2
あぁ牧秀悟が…下剋上「日本シリーズ進出」DeNAに巨人ファンの恨み節が止まらない「2020年のドラフト会議」
3
強制収容所より恐ろしい「北朝鮮将校6名爆死」で前線から兵士が逃げ出した/北朝鮮「ウクライナ大派兵」の断末魔【前編】
4
49戦して21敗「戦国最弱大名」は生涯落城経験9回の「弱い方のオダ」
5
オリックス監督を退任した中嶋聡が「日本ハムの次の監督候補」に加わった「過去の恩義」