芸能

天才テリー伊藤対談「大橋美加」(4)巨泉さんはまさに“新人類”だった

テリー では逆に、巨泉さんは美加さんのことを、どんなふうに見ていたと思われますか?

大橋 きっとかわいくない娘だったんじゃないでしょうか(苦笑)。最後まで父に甘えることはできませんでしたから。小さい頃一緒に過ごしていないので、正直、どう甘えたらいいのかがわからないんです。

テリー なるほどね。

大橋 やはり友人たちに聞くと、人生のターニングポイントで金銭面など助けてもらったりしてるようなんですが、「ああ、私はそういうことは言いだせないな」と思っちゃうんですね。そんなことで父のお世話になりたくない、もっと毅然としていたいと思っていたので。

テリー 例えば、美加さんは巨泉さんの前で泣いたこととかもなかった?

大橋 酔っ払って他愛もないことで泣いたとか、そういうことはありましたけど、気を引くための涙は流さなかったですね。あと、素直に甘えなかったのは、継母の存在も大きかったと思います。

テリー それは、どういうことですか?

大橋 父は寿々子ママとの間に子供を作りませんでしたから、そういう意味では寿々子ママは父のためだけに人生をささげた人なんですよ。ですから私は、子供の頃から2人の間にあんまり立ち入らないようにしようと思っていたんです。そして、私自身が結婚して子供たちを産んだことで、その気持ちはさらに強くなりました。

テリー そうか、母親になったことで、寿々子さんの気持ちが、より理解できたんですね。

大橋 ですから、それを貫いたことはよかったとは思うんですけど、もっと父が長生きしてくれると思っていましたから‥‥。「こんなに早く死んじゃうんだったら、もっと甘えてもよかったかな?」とか、後悔ばかりしていますね。

テリー いなくなって、あらためて巨泉さんの偉大さに気づかされるんですよ。僕なんかすごくお世話になったし、時代を常に先取ってシャープに生きてたでしょう。まさに“新人類”という感じで。

大橋 そういう部分、私はピンとこないんですよ、あまり難しい話をしませんでしたから。

テリー 絵画も好きでしたよね。僕も、晩年書かれた絵画の本を読ませてもらいましたけど。

大橋 70歳を過ぎてから美術館巡りをし始めて、目覚めちゃったみたいです。

テリー その年になっても、新しいことにチャレンジできるのがすごいですよ。しかもその本、実に的確なことを言ってるし、とにかくわかりやすかった。

大橋 「わかりやすく」は父のモットーでしたね。私も長年ジャズのラジオ番組を持っているんですけど、「とにかく、わかりやすく話せ」という父のアドバイスを忘れたことはありません。

テリー もし今、巨泉さんんに話せるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?

大橋 父が集中治療室に入っている時に13枚目のアルバムをレコーディングしていたんですが、完成する前に亡くなってしまったので、それをぜひ聴いてもらいたいですね。「父が聴いたら、何て言ってくれるんだろう?」って、今でも気になっているんです。

テリー 巨泉さん自身、それが心残りになっているかもしれませんね。いろんなことがありましたけど、美加さんは巨泉さんのことをすごく誇りに思っているんじゃないですか。

大橋 そうですね。私の前向きなところと正直な生き方は、父から受け継いだものだと思っていますから。そういう意味でも、父はいつまでも私にとって大切な存在なんです。

◆テリーからひと言

 初対面だったけど頭の回転が速くて、話し上手。間違いなく巨泉さんの血を受け継いでいるよね。今回は巨泉さんの話ばかりだったけど、ぜひ今度は美加さんの話も聞かせてください。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
商品価値が落ちたヤクルト・村上宗隆「メジャー計画変更」で大谷翔平と同じ道を
3
土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!
4
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
5
フジテレビ・山本賢太アナが行方不明に!? 「代役」登場と「謎のテロップ」