日本人初のウェルター級世界王者誕生は成らなかった。
6月19日、東京・大田区総合体育館でWBO世界ウェルター級王者ブライアン・ノーマン(アメリカ)に挑んだのは、WBO同級2位の佐々木尽だった。
1ラウンド、ノーマンの左フックでダウンを喫すると、さらにワンツーで2度目のダウン。終始、有利に試合を進めたノーマンが圧倒し、佐々木は5ラウンド46秒で失神KOされた。
これまでの戦績は、ノーマンが29戦27勝(21KO)無敗2無効試合。佐々木は21戦19勝(17KO)1敗1分。KO率はノーマンの72%に対して、佐々木の80%が上回り、「ノーマン有利」の下馬評を覆す可能性はあった。
世界2階級制覇王者の京口紘人が試合同日、自身のYouTubeチャンネル「京口紘人 Hiroto Kyoguchi」で、このKO劇を論評した。
「全体を見ても、パンチ力はやっぱノーマン選手の方があったかな。巧さも冷静さも。なにより思ったのは、佐々木選手のパワーパンチに対してのサプライズ感が、全くなかったかな。ノーマン選手からしたら『まぁ、こんなもんか』みたいな、想定の範囲内だったのかな。驚きの表情もなかったし」
一方、元世界ミドル級王者・竹原慎二氏のYouTubeチャンネル「竹原テレビ」に出演した元世界王者の畑山隆則氏は、
「『え、こんなパンチで倒れるんだ』って思ったと思うんですよ」
1ラウンドで2度のダウンを奪ったノーマンの心境を推し計った。
5ラウンドで左フックを浴びてKOされた際、佐々木は後頭部をマットに打ちつけており、試合後は即座に病院に運ばれた。どうやらその衝撃で、試合の記憶を失っているのだと…。
佐々木はまだ23歳。再起してくれることだろう。
(所ひで/ユーチューブライター)