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記事全文を読む→キング・カズ「W杯」への咆哮(1)「W杯は自分の 中の夢…」
合宿で後輩たちに託した“プロの矜持”
「君たちがフットサルの歴史を作ればいい」
キング・カズが、12年ぶりに日の丸を背負う。元日本代表で、J2横浜FCの三浦知良は、11月にタイで行われるフットサルW杯に向け、代表候補合宿に初招集された。サッカー人生のターニングポイントを迎えているカズの「今」を2週にわたって追う─。
「日本代表は日本代表。選ばれたのは光栄で幸せ。A代表と同じ気持ちで取り組みたい。大きな誇りと責任といろいろなことを抱えながら、(代表経験を)もう一度思い出しながら生かしたい」
9月20日、フットサル日本代表候補メンバーの発表後、テレビカメラ7台、報道陣約40人を前にして、カズこと三浦知良(45)は笑顔を振りまいた。スポーツ紙カメラマンが話す。
「白いシャツから、胸元をのぞかせ、『ボタン開けすぎ?』なんてこちらに問うほどおどけていて、『ワクワクするよね』と終始ご機嫌。まさにサッカー小僧の顔でした(笑)」
93年に「ドーハの悲劇」を体験し、98年仏W杯直前に最終メンバーから外されたカズ。取材陣から目線をチラッと外し、「W杯は自分の中の夢であり、今でもそう。行けていても、また行きたいと思う場所だよね」
と、ブルーの代表ユニホームへこだわり続ける思いを語った。
最後のA代表招集は、00年12月20日の対韓国戦。国立競技場でのライバル対決にも、ベンチを温めるだけの存在に終わった。
あれから12年、代表入りの高揚感は、名古屋第1次合宿初日(9月24日)に指定のホテルに到着した時の服装からも伝わってきた。スポーツ紙記者が話す。
「集合時間の午後3時過ぎ、紺色のスーツに水色のネクタイ、まさにA代表仕立てのスタイルで颯爽と現れました。気合い満点でしたね」
ホテル内の取材は厳禁のため、報道陣は練習場の体育館に移動。そこには午前中から集まりだしたファンの姿もあった。前出の記者が続ける。
「非公開にもかかわらず、たぶん50人はいたと思います。誰もがキングシート(左最後部座席)にカズが座ってくるか、という点に注目していました」
期待どおりに指定席から降り立つカズは、ファン手作りの「KINGの魂を世界へ」という横断幕に片手をあげてニッコリとほほえんだ。
「責任を感じるよね」と、場慣れしているはずのカズが驚くほどの熱烈な出迎えに、スタッフ側も「体育館の応援席を開放」という粋な計らいで応えた。テレビクルーが振り返る。
「98年仕様の代表ユニホームで駆けつけたファンもいました。彼らが携帯電話やツイッターなどで仲間に様子を伝えたんでしょうね。会社帰りのスーツ姿のファンまで集まりだし、最後は100人ほどまで増え、ニッポンコールが起こりました」
その初練習は午後5時にスタート。ストレッチやパス、シュート練習後、フットサル特有の各自片手にボールを持ってのミニゲーム(激しい動きの中のボディバランス強化)。首と肩の張りの回復が遅れて万全とは言えないカズも、約90分のメニューをフル消化した。
前出のクルーが続ける。
「ミニゲームで立ち尽くすなど、かなり戸惑っていましたね。ただ、『初対面で名前も顔も一致せず、いきなり(ミニゲームに)入れと言われ、どうしようかなと思ってしまった』と、“合流初日”を強調し、不安そうなそぶりは見せませんでした。後半には得意の左45度からのシュートを決めるなど、『ホテルに帰って積極的にコミュニケーションを取りますよ』と、こちらが思っているほど焦りも感じませんでしたね」
練習後のインタビューでは、再び、98年フランスW杯直前のメンバー落ちへの質問も飛び出した。協会関係者が話す。
「イラだつこともなく、『競技が違うからね。あの時、落選したとか、それとは別だと思う。一切、関係ない。代表としてやってきた誇りを持って、フットサルで大きなものをつかみ取りたい』と語っていましたよ」
まさにキングの帰還だった。
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