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記事全文を読む→ビートたけしの名言集「“下駄ップ”が決まった『座頭市』の舞台裏」
殿が「先生」と呼ぶ方がいます。タップダンサーで振付師のHIDEBOH(ヒデボウ)さんです。15年程前、HIDEBOHさんが振り付けで参加した、タップダンスがしこたま出てくる舞台を観た殿は、その舞台にいたく感動し、
「よし。俺もジジイになったら、ピアノとタップのショーをやってやる!」
と決心。“それならば”と、HIDEBOHさんの生徒となって、改めてタップダンスを習い始めたのです。「改めて」と書いたのは、殿は若かりし頃の浅草修業時代、師匠・深見千三郎さんから、タップの手ほどきならぬ、“足ほどき”を受けています。そんなタップの下地があった殿いわく、
「俺が昔やってたタップと、HIDEBOHさんがやってるタップは、もう全然別ものだね」
なのだそうです。
ちなみに殿は、20歳程年下のHIDEBOHさんに対し、常に「HIDEBOHさん」と、“さん”を付けて、敬語で話されます。
そんなHIDEBOHさんのお父様もタップダンサーであり、ひと頃、タップを取り入れたネタで、浅草の松竹演芸場に出演されていたのですが、幼少時のHIDEBOHさんは、お父さんに連れられ演芸場へ赴くと、何度かツービートの舞台を目撃したそうです。殿とのご縁は、子供の頃から始まっていたわけです。
で、HIDEBOHさんが出演と振り付けで活躍されたのが、北野映画11作目の「座頭市」です。ラスト、出演者がこぞって集結して下駄でタップを踏む“下駄ップ”の“大団円”の、あの“胸躍るラスト”を振り付けされたのです。
わたくしもあのシーンに、「農民F役」で参加したのですが、大人数での撮影のため、準備に大変時間がかかり、入念なリハのあと、一発勝負の恐ろしく緊張する撮影となったのです。
そして本番。奇跡的にも見事一発OK。最高の形でフィニッシュ!
が、そんな空気をかき消すように、「監督、すいません。ちょっと一人ヘンなのがいるので見てください」と、カメラマンから声が上がり、ついさっきの大団円を、もう一度VTRでチェックすることになったのです。
大勢が固唾を飲んで待つこと5分。すると、
「北郷~!!」
と、北野監督がわたくしを呼ぶ声が。“ドキッ!”として、慌てて監督の元へ走ると、
「北郷、お前だけカツラが前後ろ逆なんだよ。何やってんだ!」
と叱られ、慌てて手で頭のカツラを確認すると、確かに、おでこの上あたりが、こんもりと盛りあがっているではありませんか。〈え~~! よりによって俺! でもカツラ付けたの俺じゃないんですけど‥‥〉といった解せない思いを抱きながらうろたえていると、
「バカ野郎! お前のせいでもう1回撮り直しだよ。早くそのカブトムシみたいな頭直してこい!」
と、再度怒鳴られ、現場からかなり遠い衣装部屋へとカツラを直してもらうため必死に走ったのでした。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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