今年の「24時間テレビ」(日本テレビ系)で銚子電鉄の本銚子駅をリフォームし、「以前の味わいがなくなった」「リフォームのセンスがなさすぎる」と批判されたヒロミ。9月11日放送の「有吉ゼミSP ヒロミ24時間リフォーム完全版!築94年の駅舎を大正ロマン風に」(日本テレビ系)でその裏側が公開された。この放送によって、今度は新たに「感動の押し売り」ではないかとの批判が持ち上がっている。
この企画は同駅を利用する小学生たちの希望で、古くボロボロだった駅舎をヒロミがきれいにリフォームするというもの。生まれ変わった駅舎に小学生たちは驚き、感謝の気持ちを述べてお茶の間の感動を誘った。
「小学生のためにということでリフォームしましたが、実際のところ、小学生は駅舎をあまり利用していないと思います。以前、銚子電鉄を取材して本銚子駅を訪れたのですが、子供たちは列車が発車する直前に駅にやってきて、駅舎を利用することなく乗り込んでいました。毎日のことですから列車の時間はわかっているので早く駅に行く必要はありません。ですから駅舎で待つことなんてないんです。利用していたのは旅行者のほうが多いと思います」(鉄道ライター)
つまり、番組は必要のないものを無理やりリフォームし、感動を創り出したのではないかと批判されているのだ。本銚子駅の駅舎が必要とされていない証拠は他にもあるとこの鉄道ライターは証言する。
「地方の中小私鉄は輸送量が減少し、どこも赤字に苦しんでいます。お金がない中で、できる限り駅舎をきれいで明るく保つ努力をしている。これは気持ちよく利用してもらうということに加えて、利用客の安全を確保するためです。薄暗く汚いと犯罪が起きる可能性がありますからね。また、汚いとすぐにクレームが来るという背景もあります。ところが本銚子駅の駅舎は長い間放置されていました。これは利用する人が極めて少なく、クレームもほとんど来ないからでしょう」
お金がないためリフォームしたくてもできなかったと考えることもできるが、銚子電鉄は「ぬれ煎餅」の販売で経営危機を脱し、2014年には銚子市内にぬれ煎餅工場を新設。2015年度の決算は黒字を計上している。
「とはいえ地方私鉄の現状は苦しいもの。テレビからリフォームの提案をされれば応じるのが当然。銚子電鉄に罪はない。また限られた時間と予算の中でリフォームをしたヒロミさんも賞賛されてしかるべき。問題はやはり番組の作り手にあるのではないでしょうか」(前出・鉄道ライター)
これまでに何度も「感動の押し付け」「涙の押し売り」と批判された24時間テレビ。これら鉄道通ならではの指摘をどう受け止めるか。