問題を起こしてばかりいる「撮り鉄」を筆頭に、鉄道マニアはなにかと誤解されがちだ。だが一般の人からすれば、意外な一面を持っている。
よく誤解されるのは「鉄道好きは駅弁をたくさん食べている」だ。駅弁を食べるために日本各地を旅する「駅弁鉄」は数多く食べるが、これは少数派。撮り鉄は撮影地に鉄道ではなく車を利用するため、駅に近寄ることはなく、よって駅弁を食べることもない。
「撮影時の食事はコンビニのおにぎりや調理パンなど、片手で簡単に食べられるもので済ませます。目当ての列車を待っている間に、線路脇で食べることが多いですね。駅弁に興味がないわけではありませんが、めったに食べないのは事実です」(撮り鉄・40代男性)
駅に行く機会が多い「乗り鉄」も、実はそれほど食べないとか。
「今や駅弁はひとつ1000円以上が当たり前で、2000円を越えるものも珍しくありません。そのお金があったら、食事は安く済ませて旅費に充てたいんです。それに駅弁を食べるよりも、旅先の名物料理か、地元の人たちが行く定食屋に入りたい。駅弁でお腹を埋めてしまうのはもったいない気がします」(乗り鉄・30代女性)
新幹線に対する姿勢も同じで、一般の人が思うほど強いものではない。まず撮り鉄の意見は、
「蒸気機関車ばかり撮っているマニアはそれなりにいますが、新幹線専門という人は撮り鉄全体からすると、数えるほどしかいません。残ったドクターイエロー1編成が引退すれば、新幹線を撮る人はさらに減るでしょう。なぜ少ないのかといえば、新幹線の線路はほとんどが高架なので、きれいに撮れる場所が少なく、撮っていてあまり面白くないんですよ」(撮り鉄・50代男性)
乗り鉄も積極的に利用するほどではないといい、
「新幹線は速くて便利ですが、旅情に欠けるので、あくまで交通手段のひとつという認識です。新幹線で目的地まで行き、その地方のローカル線を楽しむ、という使い方をしますね。であれば、飛行機でもいいわけです。格安航空会社は曜日や目的地によってすごく安くなることがあるので、僕は情報を常にチェックしている。安い航空券があったらそれによって目的地を決め、地方に行って乗り鉄するということをよくやっています」(乗り鉄・20代男性)
オタク趣味は非オタにはなかなか理解しがたいが、鉄道ファンの思考はよりわかりづらいものなのである。
(海野久泰)