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記事全文を読む→ビートたけしの名言集「何の脈絡もなく、殿が唐突にしてくる質問」
「お前、毎日酒飲んでる?」
何の脈絡もなく、唐突にこんなことを殿はたまに聞いてきたりします。
「お前、月1くらいで髪切ってんの?」
「何時ぐらいに寝てんの?」
「お前、帽子何個ぐらい持ってんだ?」
弟子に対し、こういった質問を投げかけてくる時の殿は、最高に機嫌がいい時です。説明します。普段から、弟子に対し優しく、けして無茶なことを要求することのない殿ですから、“機嫌がよろしい時”は、それはもう圧倒的に優しさに満ちあふれ、“仏のたけし”にアップデートいたします。そんな時、弟子への気遣いから、“正直、きっと興味のない、弟子の些細なこと”を聞いてくる傾向があるのです。例えば、10年。芸術文化勲章・コマンドールを“どうやら授与されるらしい”となった際、
「よくわかんねーんだけど、またフランスから勲章をもらえるらしいんだよ」
と、やや照れた感じで、まずはこちらに話題を振って来ると、
「次の勲章は一番上のやつでよ、結構すごいやつみたいだよ」
と、まるで他人ごとのように、喜びをあらわにされたのです。この時、「殿、またですか! 前にもシュバリエってすごいのをもらったじゃないですか。向こうは映画監督に対するリスペクトが半端ないですね。しかし殿はフランスから愛されてるな~」と、素直な感想を声高らかに進言すると、満足気な表情を浮かべた殿は、いきなり、
「お前、住んでるとこ中野だっけ? 駅から近いの?」
と、今までの会話とは何の関係もない、弟子の住居事情を問うてきたのです。正直、殿はわたくしが中野だろうが松戸だろうが、そんなこと、まったく興味がないと思います。が、殿は、弟子といえども、気持ちよく気を遣われたら、こっちだって気を遣って返したいと率直に思う方なのです。
こんなこともありました。10年、「アウトレイジ ビヨンド」がベネチア映画祭に正式出品され、わたくしもどさくさに紛れ、殿と一緒にイタリアへ赴いたのですが、ベネチア滞在最終日、目の前が運河という抜群なロケーションのレストランで開かれた“お疲れパーティ”に、ずうずうしくも参加すると、殿の横の席でワインを頂くという夢の一夜が待っていたのです。
で、この夜の殿は、コンペでの映画の評判の良さ、さらには、明日はもう日本に帰るだけ、といった“気分がいいこと”が重なり、すこぶる絶好調で、終始テンション高くしゃべり、周りを笑わせていました。そんな宴も終盤にさしかかった頃、トイレに立った殿を追いかけ、おしぼりを持って、出てくるのを待つと、
「おう、サンキュー」
と、まずはお礼を述べ手を拭くと、すかさず、
「お前、スナックやってるお母さん元気か?」
と、遠いイタリアの地で、なぜか急に母の健康状態を気にかけだす、“愛に満ちあふれた”殿なのでした。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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