芸能

傑作ドラマ「壮絶死の名場面」真相(4)綾瀬はるかが演じた「世界の中心で、愛をさけぶ」の病死

 ドラマの象徴的シーンともなりうるヒロイン最期の瞬間。今なお語り継がれる女優たちの“美しき死”を振り返る。

 日本中の涙をしぼり取った「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年、TBS系)。最終回、白血病を患うヒロイン・綾瀬はるか(32)と恋人の山田孝之は、約束の地、オーストラリアを目指すべく空港へ。しかし綾瀬は、顔面蒼白で意識消失──。ドラマ評論家の織田祐二氏が、当時に思いをはせる。

「長澤まさみ主演の映画版を観ていたので結末はわかっていましたが、それでも感情移入して思い切り泣いてしまいました。綾瀬の薄幸顔が、より切なさを誘うんですよ」

 山田のいない間、綾瀬は病室で最後の声を振りしぼる。

〈ウルルに‥‥撒いて‥‥私‥‥朔‥‥ちゃん〉

「若手女優ヒロインのドラマ史上、最高のシーン」(前出・織田氏)は、以降“闘病モノ”の先駆けとしてドラマ界に多大な影響を与えた。

 忘れ得ぬ、永遠の別れを描いた“名シーン”といえば、桜井幸子(43)がヒロインを演じた「高校教師」(93年、TBS系)だ。

「最終回の視聴率は33%と驚異的。さらにあの謎めいた死は憶測を呼び、スポーツ紙でも取り上げられる異例の事態に発展しました」(スポーツ紙記者)

 教え子で恋仲の桜井の父親・峰岸徹を意図せず刺してしまった高校教師の真田広之は、指名手配されたあげく、列車に乗り逃亡を図る。憔悴しきった真田の前に、同ドラマでおなじみのお菓子「エリーゼ」を持って桜井が現れる。

「列車の席で小指に赤い糸を巻き、安らかな顔でお互いにもたれて眠るような、意味深なラストシーン。近親相姦の設定を含め、ファンの衝撃は大きかったですね。最初にオファーされた観月ありさが主演を回避したのも納得です」(前出・織田氏)

 最も悲劇的、かつエロティックな心中を描いて話題となったのが「失楽園」(97年、日本テレビ系)だ。

 禁断の愛により、現世との別れを決意した川島なお美(享年54)と古谷一行。川島の「至高の愛の瞬間のまま死ねたら」という願望を具現化すべく、死を見据えたまま温泉宿でお互いの体を激しく貪り合い、そして青酸カリ入りのワインを含む。2人は決意そのままに、至高の愛=結合死を迎えることができたのだった。

 一方、印象的に殺されたのが「もう誰も愛さない」(91年、フジテレビ系)の観月ありさ(40)。出演時は宮沢りえ、牧瀬里穂らと並ぶ超アイドルだったが‥‥。

「伝説のジェットコースタードラマで、姉の山口智子が送り込んだ殺し屋に、田中美奈子をかばって撃たれて死亡。当時14歳の彼女まで容赦なく殺されるのか、と衝撃を受けました」(前出・織田氏)

 また、各話、猟奇的な死に様がウリとなっていた「沙粧妙子-最後の事件-」(95年、フジ系)では、飯島直子(49)が殺害される。佐野史郎演じる異常科学者に殺され、ウエディングドレスのように白い布に包まれ、周囲と口の中にバラを詰められる──。画面に釘づけになる美しさであった。

 “自死”も、ドラマに欠かせない死に方の一つ。最近では、今年3月に「そして誰もいなくなった」(テレビ朝日系)で、仲間由紀恵(37)が首吊り自殺。あまりに凄惨なシーンを演じたことにより、「イヤな夢を見るようになりました。ちょっとイヤな気持ちになりながら起きていた」と、制作発表会見で語っているほどだ。

 夏川結衣(49)の美しさが際立った「青い鳥」(97年、TBS系)では、激怒した夫の佐野史郎に、恋人の豊川悦司が殺されそうになったところで夏川が断崖から身投げ。意表をつく展開は視聴者をあぜんとさせた。前出・織田氏もこう話す。

「適役好演で美しき夏川に夢中になっていましたが、自死した瞬間、本当のヒロインは娘の鈴木杏だったのか‥‥なんて非情な脚本なんだろう、とため息が漏れましたね。脚本を担当した野沢尚も04年、非情な人生の結末、つまり、自死を選択してしまいました」

 死はいつでも、我々の身近に潜んでいるのだ──。

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