NHK総合の土曜ドラマ枠で6月21日から始まった「ひとりでしにたい」。
原作はカレー沢薫と原案協力のドネリー美咲による漫画で、「モーニング・ツー」(講談社)で2019年9月号から2020年3月号まで連載された後、2020年10月からは「コミックDAYS」で連載中だ。
漢字変換すれば「独りで死にたい」となるこの作品、おおまかなあらすじは「30代後半の独身女性である主人公の山口鳴海が、幼い頃に憧れの的であった叔母が孤独死したことをきっかけに、終活について考える」といったもの。
そのタイトル(検索サイトに入力したら、自殺のニュースの際などに併せて伝えられる「こころの健康相談ダイヤル」がトップに表示された…)とあらすじから「重い話」を連想するかもしれないが、それは大間違い。テーマは確かに重いが、ジャンルとしてはコメディーなのだ。
考えさせられる場面が多々ありながらも終始、コミカルなタッチで描かれており、第1話は最後まで笑って見てしまった。
その要因は、原作が持つ雰囲気もさることながら、なんといっても主人公を演じる綾瀬はるかの存在が大きい。これまで「ホタルノヒカリ」「義母と娘のブルース」といったドラマや、「ハッピーフライト」「おっぱいバレー」「ギャラクシー街道」などの映画で、綾瀬はコメディエンヌとしての魅力を開花させた。
今回の「ひとりでしにたい」は、初回から名場面が目白押し。一部だが例を挙げると「推しのアイドル動画を見ながら、それに合わせて歌って踊る」や「肉襦袢で胸と股間を大きな葉っぱで隠した(往年の「はっぱ隊」のよう)姿で走って、コケる」。あるいは「大きく『バカ』と書かれたシャツを着て、全身白塗りの麿赤兒(本人!)に背中から抱えられる」なんてものまである(どんなシーンかは是非、自分の目で確かめてほしい)。
そして気になった点がひとつ。劇中、叔母の死をきっかけに「孤独死」を恐れて婚活を始めた鳴海に対し、それまで仕事でしか接点がなかった同僚の那須田優弥(佐野勇斗)が、何かにつけて声をかけるようになる。次回の予告を見ると、鳴海と優弥の間に恋が芽生える気配が。このへん、原作を未読なので、今後の展開が気になる。
「孤独死」を恐れていたのに、結局、年下男に恋心を抱かれて、めでたしめでたし…なんて話では陳腐すぎるので、それだけはやめてほしいところだが。
そういえば、綾瀬は昨年、SixTONESのジェシーとの交際が報道されたが、現在のところ、結婚に関する続報は聞こえてこない。今回のドラマを機に「やっぱり結婚しよう」となるのか、はたまた「ひとりでいいや」となるのか。ファンとしては是非とも、後者でお願いしたい。
(堀江南/テレビソムリエ)