「性上納」問題で大ダメージを受けたフジテレビは「他局(他山)の石」とはならないのか。
5月8日放送の「トリセツショー」(NHK)における納豆特集が、2007年1月に放送されたフジテレビの系列局、関西テレビの「発掘!あるある大辞典」納豆特集にソックリだったのだ。
「あるある」が「納豆を冷蔵庫から出して室温で30分置く」「納豆をフワフワになるまでかき混ぜて、朝晩2回食べると痩せる」と取り上げたところ、ダイエット効果を期待した消費者がスーパーで納豆を買い占め、店頭から消える事態に。その後、実験データや研究者の発言の「捏造」が発覚。関西テレビは「捏造」を認めて謝罪し、番組は打ち切られた。
テレビ局にとって「納豆特集」は鬼門だ。関西テレビの「捏造」発覚後も、NHKは「生活ほっとモーニング」で納豆の「血液サラサラ効果」、「ためしてガッテン」では納豆の「ガン予防効果」を紹介し、そのたびに、医療関係者などから「科学的根拠に欠ける」と指摘されてきた。
納豆が「なんとなく体に良さそう」なのと、実際に「○○に効く」かは別問題。それでも懲りずにNHKはまた「納豆特集」を組んできた。
健康効果にこそ触れなかったものの「トリセツショー」の「納豆を冷蔵庫から出して室温で30分置き」「縦と横に混ぜるとフワフワになり、美味しくなる」という説明は、大問題になった「あるある」の説明とウリふたつ。
過去の番組では「よくかき混ぜると旨みが増す」「よくかき混ぜるとダイエット効果が増す」と紹介されたが「混ぜすぎて豆が潰れ、納豆がまずくなった」と、視聴者から指摘されていた。
これまで何度も否定されながら「トリセツショー」ではなおも「納豆はフワフワにすると美味しい」と、出演者や視聴者の試食を交えて強弁。納豆嫌いの家族が納豆専門レストランに行くと納豆嫌いを克服できた、というロケまで敢行した。ちなみに番組放送と同日、都内のスーパーを2軒回ってみたが、某メーカーの「アメリカ、カナダ産大豆を使った納豆78円セール」の最中で、納豆が店頭に山積みされていた。
関西テレビの「データ捏造」が発覚した当時、NHKもこの問題と番組内容を詳しく特集。当時の論説委員は「納豆を30分室内に放置、混ぜ方を変えたくらいで旨み成分や栄養価が変わるわけがない」と結論づけている。NHKのいいかげんさ、デタラメぶりにはアキレるほかない。
(那須優子)