社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「水虫と魚の目、どっちがより深刻な症状?菌を殺して完治するまで根気よく治療を」

 魚の目や水虫など、足の疾患を抱える人は少なくありません。どちらも簡単には治らず治療に時間がかかりますが、ここで質問です。魚の目と水虫を比べた場合、深刻な症状を引き起こすのはどちらでしょうか。

 魚の目とは「皮膚の角質層の異常」です。「鶏目」とも言われ、多くは足の裏の角質層が硬く分厚くなる症状です。角質層が皮膚の奥へ増殖した結果、円形状に腫れ上がります。ひどい場合は歩くだけで痛みを感じ、不自然な歩き方になることで足の筋肉を傷めることさえあります。サリチル酸が配合されている市販薬を使って治療するほか、ハト麦茶を飲む、イチジクの茎の液を患部に塗る、お灸による治療法などがあります。

 魚の目は放っておくと痛くなるので、しかたなく医者に行く人も多いでしょう。昔、慣れた人は自分で削ったりもしました。角質なので血が出ないため自分で治療もできます。ただし、どんなにひどくても、痛みや症状が足の裏以外に拡散することはありません。

 一方、水虫の菌自体は体の中に入ることはありませんが、血管に入る危険性があることはご存じでしょうか?

 以前、爪水虫にかかった患者さんが、治療をいいかげんにやった結果、指の関節が腫れてしまいました。しかも「虫にでも刺された」と思い込み、その症状を放っておいたところ、腫れがいつまでも治まらず、医者に診せると「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と診断されたそうです。

 他にも、知り合いの医師が、水虫のある足を真っ赤にさせた患者を診て「痛風かもしれない」と診断、痛風の薬を出しました。2日後、その患者の足は膝まで腫れ上がり、夜になると動くことさえ困難になり緊急入院となってしまいました。その患者も蜂窩織炎でした。

 この蜂窩織炎は毛穴や傷口から細菌が入り、皮膚の組織が炎症を起こす感染症です。皮膚の下の深い個所から皮下脂肪にかけて細菌に感染した状態を指します。足の広い範囲で赤みや痛み、腫れが生じ、発熱や寒気、関節痛などが起こります。ひどい場合は38度以上の高熱に見舞われることもあります。蜂窩織炎にかかったら、抗生剤による治療となります。症状がひどかったり、進行スピードが速い場合は入院の必要も生じます。

 蜂窩織炎の原因としては、アトピーや湿疹、すり傷や虫刺されなどの傷、とびひのほか、水虫があげられます。皮膚のバリアが破られたところに、これらの菌が入ると感染してしまうわけです。昔は古い釘を踏んで雑菌が入り、蜂窩織炎になることが多かったですが、近年はほとんど水虫が原因となっています。

 水虫はかゆいだけと軽く思われがちですが、放っておくと水虫の菌が皮膚のバリアを突き破ってしまいます。その先に蜂窩織炎の可能性がある分、魚の目より水虫のほうが危険だと言えます。

 蜂窩織炎の予防法は細菌を寄せつけないに限ります。手洗いやアルコール消毒を徹底するほか、水虫の治療を怠らないことです。

 その昔「風邪と水虫の薬を発明したらノーベル賞だ」と言われました。近年の水虫薬は劇的に進歩しており、飲み薬と塗り薬できちんと治療すれば100%治りますが、完治しないのは「途中で治療を止める」ためです。水虫は消えてもその時点で完治しておらず、菌は残っています。よくなってからも半年ほどは治療を続ける必要があります。

 いくら抜いても根っこがあるため、常に生えてくる雑草と一緒で、水虫も根っこを殺さねばなりません。もしかかった場合は、蜂窩織炎の予防も含め、根気よく治療を続けてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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