芸能
Posted on 2012年11月29日 09:59

清水アキラ「セロテープ芸」誕生秘話

2012年11月29日 09:59

 ものまねを極めるためにハンダースを解散して7年。87年に「爆笑!スターものまね王座決定戦」でついに頂点を極めた清水アキラ(58)は、90年、94年と優勝を重ねた。「ものまね王座」は92年のコロッケ降板後も相変わらずの人気を誇っていた。その中心にあったのが、清水だった。

 そんな清水の人気を不動のものにした伝家の宝刀といえば、あの“セロテープ芸”である。

 ブレイクのきっかけとなった下ネタ芸で、行き詰まった清水が発明したセロテープ芸こそ“ものまねの神様”の贈り物ではなかったかと思えてならない。その誕生秘話もまさに、遊びの延長からたまたま生まれたものだった。

「営業先の控え室にセロテープが置いてあってね。顔に貼って遊んでいたんだ。そうしたら、研ナオコさんに似ているんじゃないかってマネジャーが言うんだよ(笑)。ヒゲを描いたら谷村新司さん、鼻を潰したりサングラスをかけたら春日八郎さんや井上陽水さんになったわけ。これを発見した時はもう小躍りしたね」

 この芸をひっ提げて、みごと89年の「ものまね王座」で優勝を遂げる。ちなみに、セロテープ芸初披露の顔まねは研ナオコだった。セロテープ芸の成功に気をよくして思いついたネタが、実はもう一つあったという。

「セロテープ芸の延長でハリガネ芸をやろうと思ったんだけど、痛くてね(笑)。うまくいかなくて、結局やめちゃったよ」

 そんな試行錯誤を続け、次々と新しい芸を生み出すのが清水流の発想術だ。

「ネタを編み出す時には、ひとひねりしてやろうという気持ちが大切。ネタを思いついても、焦らずさらに突っ込みを入れながら、じっくりとひねり出す。橋幸夫さんのネタも、この人、話すとすごく真面目な人なんです。この人崩しちゃったらどうなるんだろうって考えてたら、水着が出てきた。橋幸夫さんに『何で俺水着なの?』と言われたけど、俺もよくわからないんですよ(笑)」

 だが、ものまね芸は、ものまねをする対象との良好な関係を築けなければ、肝心のネタがおもしろくても披露することが許されない場合も多々ある。ましてや、清水の「セロテープ芸」は、極端にものまねの対象の顔をデフォルメすることから、清水は、何はともあれ“本人への挨拶”を重んじていた。

「風の噂で『五木さんが(ものまねを)よく思っていない』と聞いたものだから、これは挨拶に行かねばと思って、菓子折持って名古屋の御園座に飛び込んで行ったの。挨拶をしたはいいけど、そのまま数分、沈黙が続いて、やっぱり怒ってんだなと思って『じゃあ帰ります』って言ったら『まあ、やりすぎんなよ』とひと言。あれが五木さんの精いっぱいの優しさだと思った」

 谷村新司のものまねでは予想外の余波が起きていた。

「俺が最初にものまねをした時に、(谷村の)お子さんが学校でいじめられたみたいで‥‥。植木等さんのご葬儀で谷村さんにお会いした時に『いつもご迷惑をおかけしています』と挨拶をしました。御本人はうなずいてらっしゃいましたけど‥‥」

 一方、村田英雄からは思わぬねぎらいの言葉をかけられたという。

「村田英雄さんは、俺が『ムラタだ!』とまねをすることによって名前が売れたとたいそう喜んでくれました。『清水君、キミがムラタ、ムラタって宣伝してくれたおかげでみんなに僕のことが知れ渡って、すごくありがたいんだ』とまで言っていただいた。実際『俺が村田だ!』というタイトルのレコードまで出したんだから。のちにラジオで共演したビートたけしさんから言われたんだけど、『村田先生のような大御所がへそを曲げたら、大変なことになっていたよ』と。村田さんが大きな心で見守ってくれたから、ここまでやってこれたんだと、つくづく思う」

 そして春日八郎に至っては、こんな心温まる話もある。

「春日八郎さんは、奥様とお嬢様が僕のものまねを見ていて、『お父さんすごいわよ、あなたのまねをする人がいるのね』とおっしゃったらしくて、それで本人が番組に一緒に出てくださって、『家族がすごく喜んでいるから出てきたよ』って言ってくださいました」

 清水の人気が、ものまねの“ご本尊”にまで波及するようになったのは、この頃からである。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2022年07月05日 17:58

    可愛さ余って憎さ百倍。いやはや、この2人のバトルは本当にすさまじかった。沢口靖子が主演したNHK連続テレビ小説「澪つくし」や、渡辺謙主演の大河ドラマ「独眼竜正宗」の脚本を手掛け、飛ぶ鳥を落とす勢いだった脚本家のジェームス三木氏。ところが19...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月06日 15:30

    1991年10月から毎年、春と秋の改編期に放送される「TBSオールスター感謝祭」。TBSの人気番組や新番組に出演する俳優やタレントらがクイズやゲームで競う、いわば番宣番組だ。今年は4月4日に放送されたのだが、番組の名物コーナー「赤坂5丁目マ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年07月31日 06:45

    堺雅人主演ドラマ「VIVANT」(TBS系)が3年ぶりの続編でも、圧倒的な存在感を放っている。第2シーズンの初回放送は、平均世帯視聴率18.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録。放送中にはXで世界トレンド1位になった。前作は2023年...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/8/4発売
    ■690円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク