芸能

福山雅治が蘇らせる“伝説の映画”で健さんが揺さぶっていた「8億人の魂」!

 高倉健(享年83)が他界して早や3年3カ月。日本映画史に残る大スターは、毎年の祥月命日前後になると主演作を集めた特集や、その素顔を含めた回顧企画が組まれ、さらには、周辺のゴシップめいた記事までがメディアをにぎわせる。

 そんな高倉の俳優人生を極めて大雑把に大別すれば、前半期の「日本侠客伝」「網走番外地」「山口組三代目」など、アウトローなイメージの役柄を多く演じた時代と、後半期から最晩年にかけての「駅 STATION」「鉄道員(ぽっぽや)」「あなたへ」といった文芸大作での、静かで味わい深い演技が輝いた時代とに分かれる。ちょうど、その転換期の時代に製作され、健さんが、極道や犯罪者といった役柄ではなく、権力と闘う反骨のヒーローを演じたアクション大作が、1976年公開の「君よ憤怒の河を渉れ」だろう。

 数々のハードボイルド作品で知られる西村寿行氏が75年に上梓した同名小説の、佐藤純彌監督による映画化作品だが、映画ライターが言う。

「高倉の役は、東京地検のエリート検事。突如身に覚えのない強盗事件の容疑者にされ、原田芳雄扮する旧知の刑事に家宅捜索を受けている間に逃走。さらには殺人犯の濡れ衣まで着せられるが、たった一人で自分が無実の罪で追われている謎を追ううちに、それが政界の黒幕による陰謀だったことを知る。やがて高倉の無実を信じて独自の捜査を進めていく原田とともに黒幕を追い詰めていくというストーリーです」

 この作品は79年、長らく外国映画が公開されずにいた中国で「追捕」のタイトルで、文化大革命後の初公開の外国映画として公開された。

「文革による抑圧された空気が残っていた当時の中国で、文字通り爆発的にヒットし、観客動員数は実に8億人。観客が登場人物のファッションやセリフを真似るという『追捕現象』と呼ばれる社会現象にまでなりました。その様は、あたかも任侠映画に出演していた頃の高倉の演技にシビれた観客が映画館を出るや、健さんになりきったしぐさをしてしまうのに似た感じだったんでしょう。現在の中国を牽引する実力者にも、『君よ憤怒の──』が自分の人生に大きな影響を与えたという人は多く、ある巨大企業の社長などは、テレビの取材に答えて、映画のテーマ曲を鼻歌で再現しながら、つらい時もこの映画を思い出して頑張ったと語っていたほど。それほど当時の中国に大きなインパクトを与えたんです」(前出・映画ライター)

 この伝説の映画の、そして健さんの大ファンである中国アクション映画界の巨匠ジョン・ウー監督が、原作・映画化作品公開から40年以上たって同作品を再映画化した。それが、2月9日から公開される「マンハント」(配給/ギャガ)だ。主演は中国の人気俳優チャン・ハンユーと、言わずと知れた日本のスター・福山雅治のW主演。

「2人のほか、アジア各国からチー・ウェイ、ハ・ジウォン、日本からは國村隼、竹中直人、斎藤工、桜庭ななみといった実力派俳優が脇を固めています。福山は、健さんの3年前に71歳で亡くなった名優・原田芳雄にあたる孤高の敏腕刑事役を熱演。チャン・ハンユーとともに激しいアクションシーンにも挑んでいます」(前出・映画ライター)

 1月30日に都内で来日中のジョン・ウー監督も参加してのジャパン・プレミアが、31日には、作品中の豪華なパーティ場面の撮影にも使われた大阪・あべのハルカスの展望台で完成報告会が行われた。また、原作小説の文庫(徳間書店刊)も、再映画化を機にW主演の2人の映画ビジュアル帯で登場し、伝説の作品の再映画化を盛り上げている。「マンハント」の公開を機に、健さんと原田もみずからの「若き日の躍動」にもふたたび注目が集まることを、天界で喜んでいるに違いない。

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