社会
Posted on 2021年01月12日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<感覚過敏>「専門診療科で異常なしなら心療内科の受診が必要に」

2021年01月12日 05:55

 最近注目されている病気に「感覚過敏」がある。人から触られるのが苦手だったり、周囲の音やニオイ、味覚、触覚など外部からの刺激を過剰に感じてしまい、激しい苦痛と不快感を覚える状態を指している。

 視覚過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏、味覚・食感過敏、触覚過敏の5つがあり、1つの場合もあれば、複数にわたって発症する場合もある。

 例えば、化学繊維の服がチクチクして着られない、握手などで人に触れられるのが苦手、天気がよい日は光がまぶしすぎて目や頭が痛くなる、他人の化粧品や柔軟剤のニオイが我慢できず吐き気がする、口に当たるマスクの触り心地が不快‥‥などが挙げられる。

 アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、発達障害「自閉症スペクトラム」のひとつとして、感覚過敏の異常が指摘されている。

 脳は外部からのさまざまな刺激に対して、生活に支障を来さないようにコントロールしているが、それがうまく機能できなくなってしまうために発症する。やっかいなのは、症状のない他人には理解されにくく、「細かい性格」「我慢ができない人」と誤解されることも多いことだ。

 対処法としては「感覚過敏」の原因を物理的に取り除いたり避けることが肝心。例えば、大きな音のする場所は避ける、服のタグは取り除く、聴覚過敏が気になる人は耳栓をする、視覚過敏の人はサングラスをかける、嗅覚過敏の人はマスクを使用して対処する、などだ。この病気は、幼少時から自覚している人が多いが、不安やストレスが引き金となり、大人になって発症することも多い。

 仕事にも支障を来すので、視覚過敏なら眼科、嗅覚過敏なら耳鼻科の受診といったように、まずは該当する専門の診療科を受診しよう。そのうえで異常が見られない場合は心療内科の受診が必要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク