それにもかかわらず、「新基準値」以上に厳しい独自基準を設けた自治体がある。
茨城県農林水産部漁政課担当者がその理由をこう説明する。
「100を超えることを避けたいということで、50にしました。学者などのアドバイザーの意見ではなく、大手スーパーが50を基準にしてやっているところがあるので、市場の状況を加味したのです」
茨城県ではHPで検査結果を公表している。その数字が、採取された時期・場所などにより急激に上がったり下がったりしている。汚染水の“ダダ漏れ”と関連があるのだろうか。
「原因はわかりません。線量の高い魚がいたということです。個体差や、採れている場所の影響もあると思います。魚は動いているので、いつもその魚がその場所にいるわけではありませんから‥‥」(前出・漁政課担当者)
それにしても、基準値を厳しくするというのは、検査がこれまで以上に大変になる。 前出・野口氏が言う。
「食品中のセシウムを計測する際に、検出限界値というのを設定します。今までの500ベクレルが基準値なら限界値を10という具合にしていくのですが、基準値が下がれば、それだけ限界値も下げる。すると、1品目の検査にかかる時間が長くなるのです。『新基準値』の施行と同時に検査体制の強化、効率化を図らなければならないのです」
茨城県では、過去に50ベクレルを超えた13魚種を特定。その検査を強化しているという。それで、検査体制や方法は変わっているのだろうか。
「検査は2カ所でやっており、ゲルマニウム検出器を使っています。“マニュアル”どおりに、数匹から身を取って測っています」(前出・漁政課担当者)
すでに、3月中に茨城県ではヒラメの出荷を自粛。さらに、県内で水揚げされたシロメバルやヒガンフグなど8魚種が独自基準を超えている。
ところが、北茨城の名物であるアンコウは13魚種にすら入っていない。
「アンコウは(この方法では)大丈夫です。50以下です」(前出・漁政課担当者)
とはいえ、我々はアンコウの身も食べるが、肝も食べる。肝の検査はしていないというが、大丈夫なのか。
日本科学者会議の児玉一八氏はこう語る。
「ごく一般的に言うと、放射線防護学をやっている専門家たちは内臓を食べることを勧めません。そういう意味ではアンコウの肝も心配ですね。重要なのは、きちんとデータをとるということです。肝を食べるアンコウでも、皮も楽しむフグなどでも、分けて食べる部位ごとに測るということが大切ですね。食物に関しては安全という面と、安心という面の二つがあると思います。原発周辺の方たちには苦労をかけますが、安全という観点に立ってデータをとらないと、安心を確保できないでしょう」
居酒屋からあの濃厚な味、アン肝が消える日も遠くはなさそうなのである。
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