エンタメ

死んでも「アイツ」に勝ちたかった② 長州力 (3)

言葉はその場の感情で吐く

 藤波への〝下克上アクション〟で長州は「革命戦士」と呼ばれ、時代の寵児となった。金曜夜8時放送の「ワールドプロレスリング」(テレビ朝日)の平均視聴率は20%を超え、新日本プロレスは黄金時代を迎える。
 83年4月3日の蔵前国技館。「かませ犬」発言後、3度目の一騎打ちで、長州が藤波から初めての勝利を収め、WWFインターヘビー級王座を奪取した。

 この勝利は僕にとって、1段階ステータスが上がった試合だったと思いますよ。それまでは一度も勝ったことがなかったし、そのうえ、ベルトまで巻けたんだから。それまでベルトを巻いた経験はあったけど、藤波さんから勝ち取ったことが大きかったね。
「俺の人生にも、一度くらいこんなことがあってもいいだろう」と言ったらしいけど、よく覚えてないんだ。そんなこと言ったのかね?ただ、藤波さんに勝ったことはうれしかった。それは間違いない事実ですよ。
 あの頃は年間260試合という、とんでもない数の試合をこなしていました。
 みんな同じプロレスですけど、藤波さんとの試合だけは特別だった。存在感が違う。2人の試合は、それまでのオーソドックスなスタイルと違って展開の速いスタイルでした。のちに、「ハイスパート・レスリング」なんて呼ばれていたな。どっちが先に潰れるかわからない、きついスタイルというか。僕と藤波さんだからできたんだと思うよ、うん。年齢も30歳くらいで、体力も気力も充実してる時期だったからできた。
 何より僕と藤波さんの身体能力の波長がピッタリと合ってたんじゃないかな。他の誰でもない藤波さんとじゃなきゃできなかった。
「相手が藤波だから、あえて本物のバックドロップを放てるんだよ」とも当時、言ったらしいんだけど、これも覚えてないんだよな(笑)。
 こういう僕の過去の発言がクローズアップされたのがきっかけでプロレスファンになったり、僕の言葉で留飲を下げたファンも多かったとは聞くけど、正直、僕にはよくわからない。その場、その場の感情が出てるだけで、そこには何の計算もないんだ。
 自分の吐いた言葉に責任なんて持てないですよ。何でみんなそこにこだわるのかなって、不思議なところですよね。誰かを勇気づけたり、元気づけるために言ってるわけじゃない。よく「力をもらいました」とか言われる。だけど、こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、「お前、弱いヤツだな」と思いますよね。そんな、僕の吐いた言葉なんかに力なんかあるわけないですよ(笑)。言葉ってのは選ばないといけないんだろうけど、僕は本当にその時、感じたことを吐いてきただけなんですから。

カテゴリー: エンタメ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
4
大谷翔平が「嘘つき」と断言した元通訳・水原一平の潜伏先は「ギャンブル中毒の矯正施設」か
5
リストラされる過去の遺物「芸能レポーター」井上公造が「じゅん散歩」に映り込んだのは本当に偶然なのか