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記事全文を読む→天才テリー伊藤対談「小松政夫」(3)植木の身代わりでバイクスタントも
テリー そういう優しくて真面目な一面があるのに、テレビや映画での植木さんは圧倒的におもしろくて、くだらなかったじゃないですか。あれは何だったんですかね?
小松 ハハハ、映画に関して言えば、やっぱり古澤憲吾監督のせいでしょうね。ほとんど乗馬経験のない植木を馬に乗せて「走れー!」って、断崖絶壁を登らせるようなムチャクチャな監督でしたから。危なっかしくて植木もスタッフもハラハラしているのに、「走れ、走れ! 馬は利口だから、ちゃんと道を見てる!」って(笑)。
テリー すごいなァ、普通そんなの通らないですって(笑)。そういう危険な場面だったら「いくら何でもうちの植木にそんなことはさせられませんよ」って、普通はなりますよね?
小松 1回だけありましたね。「大冒険」という映画で植木がスーパーカブに乗って悪漢を追いかける場面なんですけど、道に転がったミカンやリンゴをジャンプして避けて、ストンと着地してまた追いかけるというアクションをスタントマンがやるはずだったんです。
テリー はい、はい。
小松 ところが、用意されたバイクの踏み切り台の高さが1メートル20センチぐらいあったんです。それを見たスタントマンが「こんなもん跳べるか!」って帰っちゃったので、植木が「私が飛びます」って言いだして。
テリー プロが跳べないって帰っちゃう高さなんだから、素人には無理でしょう。
小松 そうなんです。さすがに「それはやらせられない」という話になって、私がやることにしたんです。結局、うまく着地できなくて転びましたけど、「諦めずに追いかけていくシーンが撮れた」ということで、結果OKになりました。
テリー 小松さんだって危ないじゃない、ムチャクチャだなァ(笑)。でも植木さんって、運動神経抜群ですよね。何かの映画で、あぐらをかいたまま、ちょっと高いところに飛び乗るシーンとか覚えていますよ。
小松 ああ、ありましたねェ(笑)。
テリー 国立競技場で踊ったりする場面でも、それがよくわかりますよ。
小松 あれ、当日その場での振り付けですからね。いちおう振り付けの先生がいるんですけど、古澤監督が「植木さんは好きなようにやらせたほうがいい」って言うもんだから、植木がその場で歌いながら踊って。またそれがみごとなんですよね。
テリー 古澤監督の期待に植木さんはみごとに応えるからすごいですよね。
小松 でも、植木が古澤監督に文句を言ってるところを見たことがありますけどね。ホテルの部屋で、当時、彼女役だった浜美枝さんが待っている。植木がその部屋に入ると、もみ消したタバコが目に入る。植木としては「ははあ、さっきまでここに誰かいたんだな?」と気づくような芝居をしたかったと思うんですよ。でも古澤監督は「部屋に走って入っていけ!」って指示するので「ちょっとは考えるような演技をさせてくださいよ」って(笑)。
テリー へぇ。でも、それって今のハリウッド映画ですよね。スピードが速くて、カット数も多い。
小松 ああ、そうかもしれませんね。本当に個性的な人で、撮影の時は「シュートするーッ!」って大声を出すんだけど、家の表札のアップなんかも、「ハイ、表札のアップ撮るー、シュートするーッ!」って叫ぶんですよ(笑)。
テリー ハハハ、撮ってる映画と同じで、テンションが高い人だったんですね。おもしろいなァ。
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