スポーツ

急逝・衣笠祥雄、緒方カープの礎を作っていた「鉄人のひと言」とは?

“鉄人”衣笠祥雄氏が永眠した。71歳だった。1987年6月13日、連続試合出場の世界記録を更新し、それは引退まで継続された。その2215試合連続出場の記録は歴代日本1位、世界でも2位の大偉業だ。

 氏が75年の広島初優勝に大きく貢献したのは説明するまでもないが、今日の緒方カープにも関わっていたことはあまり知られていない。氏の現役最後のシーズンとなった87年、新人選手としてカープに入団してきたのが緒方孝市監督なのである。

「衣笠さんは首脳陣が緒方監督に大きな期待を寄せていたことを聞かされていました。高橋慶彦のような守備範囲の広い内野手に育てよう、と」(チーム関係者)

 氏は“ルーキー・緒方”にみずから近づき、「一緒にやろうか?」とウォーミングアップのキャッチボールに誘った。ところが、である。まだ18歳だった緒方監督はガチガチに固まってしまい、まともに返球できなかったのだ。

「オマエ、外野手になったほうがいいよ」

「はい、そうします」

“世界の鉄人”を相手に「緊張するな」と言うほうが無理である。しかし、選手・緒方は外野手として鍛えられ、翌88年から一軍に定着した。守備範囲の広い内野手にはなれなかったが、リードオフマンとして成長し、「3割40盗塁以上」「3年連続盗塁王」などのタイトルも獲得した。後年、鉄人は「内野手失格の発言は冗談」と笑っていたが、そのひと言がなければ、外野手・緒方が監督まで上り詰めることはなかっただろう。

 緒方監督も故障は多かった。しかし、不屈の精神で何度も復活してみせた。ダメ出しをしてくれた鉄人がお手本だったのだろう。指揮官となった今、選手の自己管理に厳しいのもその影響のようだ。

(スポーツライター・美山和也)

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