芸能

天才テリー伊藤対談「小林亜星」(3)今はあらゆる世界からプロが消えた

テリー CMソングの名曲「ワンサカ娘」ですよね。「♪ドライブウェイに春が来りゃ」って、シルヴィ・バルタンも歌ってましたよね、懐かしいなァ。

小林 あれは妹がレナウンに勤めていて、テレビCMを作ることになった時に「うちの兄はCMソングを作っています」なんてウソをついてくれて、たまたまやらせてもらえることになったんですよ。

テリー あれを見て日本中が「ワンサカワンサ」「イエイエ」言ってましたよ。

小林 ああいう時って、いいことが重なるんですよ。作曲家のすぎやまこういちさん、ご存じですか?

テリー ええ。歌謡曲はもちろん、「ドラゴンクエスト」ほかアニメやゲームの音楽でも有名ですよね。

小林 当時はまだフジテレビのディレクターで、音楽番組を担当されていたんですよ。それで少しずつ一緒に仕事するようになるんだけど、そのうち東映動画(現・東映アニメーション)から「『狼少年ケン』というテレビアニメを作るから音楽を担当しないか」と言われたの。

テリー 主題歌が「♪ボバンババンボン」っていう始まるアレですね。

小林 そうそう。僕が作曲した歌はだいたい頭に「ワーオワーオ」「ワンサカワンサ」みたいな、訳のわかんない歌詞がつくんですよね(笑)。

テリー 当時としては画期的なくらいにポップなセンスでまとめられていたと思うんですが、どういうところから、あんなメロディが浮かぶんですか?

小林 うーん、どうなんでしょう‥‥子供の頃からジャズはよく聴いていたんですよ。覚えているのは、堀内敬三が訳詞した「アラビヤの唄」というジャズソングが子供の頃にはやっていてね、親父の弟の奥さんがやってる新宿の飲み屋に連れて行かれると、その曲が一日中かかってるわけ。それが気に入っちゃって。

テリー フフフ、ずいぶんとマセてますね。

小林 あと、親父の影響はけっこう大きいんじゃないですかね。戦争中も防空壕の中でジャズを聴いていたくらいだから。

テリー これまでさまざまなジャンルでご活躍された亜星さんから見て、今の音楽シーンはどうですか。

小林 さっきテリーさんが日本中の人が僕の曲を知っている、と言ってくれたじゃないですか。これからはそういうことはなくなると思いますね。というのは、みんな趣味が違うのよ。

テリー ああ、個人の趣味嗜好がね。

小林 昔ならヒット曲が出ると、町じゅうその歌ばかりがかかっていたでしょう。暮れになると紅白歌合戦を見ながら、「今年はこの歌、すごくはやったね」なんて話したりしたけど、そういうことがなくなった。今のヒット曲っていうのは、その曲を好きな人だけが知っているだけで、知らない人はまったく知らない。

テリー お年寄りからお子さんまで、みんな同じ歌を歌えましたものね。

小林 だから吉田正さんや古賀政男さんみたいな、一つの時代を築く作曲家みたいな存在はもう出てこないんでしょうね。CMソングだって、今や専門家はいないですから‥‥CMソングの論理なんかを研究している音楽家なんて、恐らくいないでしょう。

テリー そうなんですか。

小林 ハッキリ言うと、あらゆる世界から「プロ」が消えたと思う。素人が作ったようなものばかりが、もてはやされている。それはちょっと寂しいよね。

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