スポーツ
Posted on 2013年01月29日 09:59

競馬エージェント(2)騎手をあてがいながら予想

2013年01月29日 09:59

 トレセン関係者が語る。

「日本では、所属する厩舎が管理する馬への騎乗を優先させなければならず、騎乗したい馬に乗れない不満もあった。でもエージェントに頼めば厩舎とのしがらみもなく、レースにだけ集中して馬に乗れる。つまり、優れた騎手が優れた馬に乗る、というアスリートなら当たり前のことが、ようやく彼によって示されたのです。それまでの競馬サークルにはまだ徒弟制度が残っていて、満足に稼いだ金をもらえない騎手もいるほどでした」

 岡部氏により近代化が図られたのはよかったが、デメリットもあったようだ。先のエージェントが言う。

「岡部さんは1つのレースに複数の騎乗依頼があった場合、騎乗できない馬への依頼を(松沢氏を通して)みずからを慕う蛯名正義や柴田善臣、田中勝春らの“子分”に振り分けた。そうすれば、その馬を他の騎手に取られる心配をせずに済むからです。そこからいわゆる『岡部ライン』というものが出来上がり、レースにも反映するようになってしまった。岡部さんが逃げたりすると、子分騎手は絶対に競ったりしないのです。結果、『スローペース症候群』が蔓延したことも‥‥」

 こうした談合めいたレースは熱心な一部ファンの不評を買い、JRAにも「スリルのないレースの一因となっているエージェントの存在を認めているのか」との問い合わせがしばしばあったという。むろんJRAはそのたびに、「認めてはいない」と言ってきたが、時代の流れにはいつまでも逆らえなかった。

 岡部氏を見習って騎手がどんどんフリー化し、エージェント制を導入する中、とうとうJRAも06年春、正式に認めざるをえなくなる。

「騎乗依頼仲介者」として届け出ることを義務づけたのだ。JRAは現在、公正確保のために、1人のエージェントに対し、担当できる騎手3人+減量騎手(見習い騎手)、または外国人騎手1人という制限を設け、許可している。

 正式に認められたエージェントの主な業務は、大きく分けて次の二つ。

 ①担当騎手の騎乗馬の確保。

「今度、あの馬にうちの○○を乗せてもらえませんか。空いてますから」と営業活動もする。

 ②騎乗依頼の整理。同じレースに複数の依頼が来た場合、それを自分が担当している別の騎手に振り分ける。

 だが、この兼業実態に元エージェントは、こんな疑問を投げかけるのだ。

「兼業はよくない、と誰もが内心では思っています。担当の騎手に脈のある馬を用意する一方で、その馬が出るレースの予想行為(◎○▲などの印を打つ)も行っているわけで、あらぬ問題が生じかねない」

 そのため、“エージェントの思惑を読んで馬券を買わなくてはダメだ”とも。本来は、欧米のように専門職として独立させるべきだというのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク