社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<検便>「最も死亡率が下がるガン発見の近道」

 昭和生まれの方なら、小学校時代に「ギョウ虫検査」をした人は多いのではないか。寄生虫の卵の有無を調べる検査だったが、現在は廃止されている。しかし排泄された大便を検査する「検便検査」は、調理従事者などは感染防止などの観点から、法律で定期的に義務づけられている。

 一方、会社の健康診断などでも行われる「便潜血検査」で調べるのは、大腸・直腸のポリープやガンなどの消化器疾患があるかどうか。大腸ガンやポリープがあると、便が腸内を移動する際にガンやポリープの組織とこすれ、血液が付着する。これを調べることで、ガンやポリープを発見できるというわけだ。

 その検査方法は、便の表面を採便用の棒でまんべんなくこすり、2日間分を採取するのが一般的。その理由は、たとえ大腸ガンでも必ず毎回出血するというわけではないため、2回採取のうち1回でも陽性が出れば、再検査などが必要となる。

 ちなみに「便潜血検査」で陽性が出ると、すぐに大腸ガンを心配する人が多いが、痔による出血や腸炎、場合によっては胃潰瘍などで陽性が出る場合もあるのだ。

 実は陽性が出た人の中で約8割が「異常なし」と診断され、大腸ポリープが見つかるのが約2割、大腸ガンと診断されるのは2~3%という報告もある。

「便潜血検査」を受けることは、ガン検診の中で最も死亡率が下がる方法ともいわれている。大腸ガンは、「早期発見、早期治療」で改善する場合が多い。発見の最初のきっかけとして、検便は重要な役割を担っている。

 ただ「便潜血検査」で陽性にならなくても、血便がある、便が細くなった、おなかが張る、ひどい便秘が続いているなどの気になる症状がある人は、より精度の高い「大腸カメラ」の検査を受診することをお勧めしたい。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    「男の人からこの匂いがしたら、私、惚れちゃいます!」 弥生みづきが絶賛!ひと塗りで女性を翻弄させる魅惑の香水がヤバイ…!

    Sponsored

    4月からの新生活もスタートし、若い社員たちも入社する季節だが、「いい歳なのに長年彼女がいない」「人生で一回くらいはセカンドパートナーが欲しい」「妻に魅力を感じなくなり、娘からはそっぽを向かれている」といった事情から、キャバクラ通いやマッチン…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    塩試合を打ち砕いた!大谷の〝打った瞬間〟スーパー3ランにMLBオールスターが感謝

    日本時間の7月17日、MLBオールスター「ア・リーグ×ナ・リーグ」(グローブライフフィールド)は淡々と試合が進んでいた。NHK総合での生中継、その解説者で元MLBプレーヤーの長谷川滋利氏が「みんな早打ちですね」と、少しガッカリしているかのよ…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

    新井貴浩監督が絶賛!劇画のような広島カープ野球の応援歌は「走れリュウタロー」

    プロ野球12球団にはそれぞれ、ファンに親しまれるチームカラーがある。今季の広島カープのチームカラーを象徴するシーンが7月初旬、立て続けに2つあった。まずは7月4日の阪神戦だ。3-3で迎えた8回裏、カープの攻撃。この試合前までカープは3連敗で…

    カテゴリー: スポーツ|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
岡田監督よく言った!合計43得点のオールスター戦が「史上最もつまらなかった」とファンが怒った当然の理由
2
巨人・阿部慎之助監督のエンドラン外し「捕手の勘だった」発言に江川卓が「それはない」異論のワケ
3
認知症の蛭子能収「太川陽介とバス旅」は忘れてもボートレース場で「選手解説」ギャンブラー魂
4
レジェンドOBなのになぜ!ド低迷の川崎フロンターレ「中村憲剛」新監督案をサポーターが拒絶
5
【衝撃事実】見たのは誰だ!トランプ銃撃犯は「11分間ドローンでライブ配信」していた