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人民解放軍の「兵站部門」である鉄道事業も疲弊しているという。兵站部門とは軍隊が必要とする武器弾薬や食糧などの物資を輸送する機関のことだ。
「現在は鉄道省に吸収されたものの、かつての人民解放軍には鉄道建設兵団という鉄道の敷設と運営を専門に行う師団がいくつもあり、チベット自治区や新疆ウイグル自治区などへの鉄道建設を担当していました」(南郷氏)
軍隊と鉄道は密接な関係にあったため、日中国交が回復し、訪中した日本人観光客が駅や鉄橋で写真を撮影するとフィルムを没収される騒ぎもあったらしい。そんな重要な役割を担っていた鉄道部門も危機に瀕しているというのだ。
事実、2011年7月、浙江省温州市で発生した高速鉄道の衝突事故は記憶に新しいが、その後も高速鉄道の不祥事が次々と明らかになっている。
外信部記者が言う。
「各地の路線で高架橋の基盤が劣化して人間の上半身がすっぽり入るほどの空洞ができるなど、手抜き工事が明るみに出ている」
中国のような事実上の共産党一党支配の独裁国家では、その内部で強い権力を持った組織は非常に腐敗しやすい、と南郷氏は言う。
「独裁国家における軍隊の場合は『軍事機密』の壁に守られ、調査や告発が難しいために、いわば『権力内権力』になっている。だから、人民解放軍がひとたび、『祖国を防衛するために兵員を前線に迅速に送り込めるよう高速鉄道を全土に敷設する』と発表したら誰も異を唱えられない。結果、高速鉄道の建設は人民解放軍の高級幹部に多大な富をもたらし、その一方で中国全土に数年で崩壊するような鉄道網を張り巡らせてしまった」
かつて中国の高速鉄道に乗車したことのある八木澤氏は車掌を見て驚いたという。
「走行中、車掌は最後部の車両のいちばん後ろの荷物を置くため設けられたスペースに腰かけ、お茶を飲んでいるんです。のんびりしているというか、日本では考えられないですよね」
もし、全ての鉄道路線で線路の点検を行えば、そのメチャクチャぶりは、JR北海道の比ではないだろう。かといって、全ての路線を停止し、点検、補修を行うことなど国家のプライドが許さない。かくして、鉄道部門も含め、中国人民解放軍も鼓膜を突き破るような断末魔の苦しみにアエいでいるのである。
アサ芸チョイス
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