スポーツ

中日・谷繁“布石を打って勝つ”新リーダー術(12)「兼任監督として迎える集大成の行方」

20140320k

 落合中日で大きく成長した谷繁だが、その才能を開花させたのは、横浜時代のことだ。中でも日本一を経験した98年にチームを率いていた権藤博は、今でも「捕手・谷繁」を高く評価している。

 その権藤が、谷繁の中日監督決定の直後、こんなアドバイスをしたことがある。今でも谷繁の心の中で深く刻まれている言葉だ。

「監督として、『何もしない』と言われるのが、最大の名誉。やるのは選手だから。あなたは監督である前に選手として一番だから」

 捕手としての力量は誰もが認めるところ。中日に移籍してからは、よき先輩として、若手選手の指導も率先してきた。谷繁を中日にFAで獲得した時の監督・山田久志は「よそから来たからといって、遠慮なく若い投手たちを叱って教育してくれた。監督にとってみると、とてもありがたい選手だった」と、谷繁のリーダーシップに期待を込める。

 新天地に入って自分の意見をハッキリ言い、「なぜあの投球をしたのか」と周囲の目を気にすることなくベンチで意見することで、投手陣との信頼関係を築いてきた谷繁。

 その熱血漢ゆえ、過去には選手と衝突したこともある。だが、生え抜き組が幅を利かしていたチーム内でその存在感を示して、中日の野球を変えていった男が、今度は自分が指揮を執った時、「監督にとってありがたい存在」になりうる選手が新たに誕生するのか。その点も今後の中日復活のキーポイントとなるだろう。昨シーズンも、戦いを挑んでいない若手に対しては、ついベンチで怒号を浴びせてしまったケースもあったという。特に自分の後継者となる捕手に対しては、厳しい一面もあるというから、監督としての忍耐が今後、求められることになりそうだ。

「選手を怒りすぎるなよ。監督なんだから」

 落合が谷繁に贈った唯一のアドバイスを、きっと心に刻んでいるに違いない。

 課題はまだある。選手のみならず、頼りになるコーチ陣との関係も、これから焦点になりそうだ。落合監督は自分がコーチを選ぶ時には、絶対に自分よりも年上のコーチを使うことはしなかった。だが、谷繁政権のコーチ陣たちは皆、年上ばかり。ヘッドの森は16歳も離れている。いくら“おしん捕手”として耐えることには慣れているといっても、選手ばかりか監督として活躍する以上、息抜きの場所がないのも現実だ。それだけに、長いシーズンをどうくぐり抜けるかも大きなポイントとなるだろう。

 ともかく谷繁自身は、「自分のやってきた時代に戻ればチーム再生が可能」という“落合流”を踏襲することを宣言しているが、その道のりは険しいと言わざるをえない。ほとんど補強らしい補強をせずに、チームの選手の力を引き出して勝利する──挫折と栄光を繰り返してきた谷繁野球の集大成が、いよいよ始まる。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
巨人・阿部慎之助監督が「非情の戦力外通告」秋広優人に高木豊が「縦振りを習ってこい」指令
2
【奇縁発覚】太川陽介が30年通うラーメン店の名前を聞いて「まさか、ホントに!?」
3
中尾ミエ「愛犬の遺骨を砕いていつもの散歩道に撒いた」おいおい大丈夫なのかと調べてみたら…
4
西武・佐藤龍世「遅刻で3軍行き」を食らった「懲役3カ月」「新庄剛志が激怒」直らない素行問題
5
大久保博元が「大物じゃないね」と斬り捨てた「寝坊3軍落ち男」西武・佐藤龍世と松井秀喜の「大差」