中日・井上一樹監督の「前代未聞の抗議」に、野球解説者の高木豊氏が痛烈な「喝」を入れたが、これに「逆喝」が入る事態に…。
問題のシーンは5月24日の阪神×中日戦の9回、代打で打席に立った阪神の渡辺諒が、フルカウントから迎えた8球目。中日の守護神・松山晋也が投じた内寄りの低めの一球は、低めギリギリに外れたボール球に見えたが、小林和公球審の右手が一瞬、ピクリと反応し、上がりかけた。その「挙動」に対し、井上監督はベンチを飛び出して詰め寄り、「何だよ!」と抗議めいた声を上げたのである。
井上監督はこの怪しげなジェスチャーについて確認しただけだったのだが、阪神の藤川球児監督は憤慨。この「抗議」が9回二死二塁、中野拓夢の打席での際どいコースでの見逃し三振に影響したのではないかと主張した。
試合後、小林球審はこのやり取りについて説明。
「(井上監督から)『手、出たでしょ。ストライクじゃないの』と。私がボールと言った後、手がパッと出たので。ただ、ストライク、ボールに関しては抗議はできないので、もう下がってくれ、と。それで『わかった、わかった』ということです」
ストライク、ボールの判定に関する抗議ではなく、どうにも不自然なジェスチャーに対しての抗議だったというのだ。
責任審判の福家英登審判員は翌25日に、
「われわれの判断方法に曖昧さがあり、混乱を招いたのが原因」
と謝罪し、両監督間のわだかまりはすでに解消されていることを明らかにしている。
この「事件」について高木氏は、
「ボールとストライクの判定は本来、抗議してはいけないこと」
と前置きしつつ、
「今のは高さ的に入っていると思った。中日としては勝ちたい気持ちもわかるが、あの場面は余計だった」
つまり高木氏は抗議の主旨を「審判批判」と受け取り、「監督の抗議は完全に的外れ」だと一蹴してしまったのである。これに視聴者からは「井上監督は審判のジャッジを確認したかっただけ」「名誉回復のために訂正を」といった「喝」が出た。
試合を左右しかねない判定の一瞬の曖昧さは、監督や選手だけでなく、観客の信頼にも影響を与える。今回の一件は、審判団の手の動きと声のタイミングが微妙にずれたことが混乱を招いたわけだが、真相を正しく伝えることがファンの安心につながる。高木氏にはぜひ、早急なコメントのアップデートを望みたい。
(ケン高田)