スポーツ

平成の盾男「武豊と天皇賞」(3)ディープインパクトより強い馬はいない

20140508_15j

 97年秋の天皇賞をエアグルーヴで制した武が、92年のマックイーン以来となる春の盾制覇を果たしたのは、99年のことだった。

 パートナーは、前年ダービー初勝利をプレゼントしてくれたスペシャルウィークだった。

 目的は忘れてしまったが、その春天の少しあと、彼の自宅を訪ねた。ちょうど、弟の幸四郎や、当時騎手だった石橋守、千田輝彦らも来ており、庭でバーベキューパーティをした。トングで肉を裏返しながら、

「これで2年連続、前の年に有馬記念を使わなかった馬が春天を勝ちましたね」

 と武が言った。前年、98年の勝ち馬メジロブライトも、スペシャルウィーク同様、有馬記念をスキップするローテーションだった。

 さらに彼は続けた。

「もうひとつ、知ってました? 前年のダービー馬が春天を勝つと、阪神が優勝するんですよ」

 その年、彼がずっと応援している阪神タイガースは野村克也新監督のもと、6月には一時首位に立つほどの勢いを見せていた。前年のダービーを含む三冠を制したシンボリルドルフが春天を勝った85年、阪神は日本一になった。それ以来の虎フィーバー到来かと思われたが、結局、最下位に終わった。彼がつなごうとした春天と阪神優勝のリンクは途切れてしまった。

 同年秋の天皇賞をスペシャルで制した彼の、次の春の盾戴冠は、06年、ディープインパクトとのコンビによるものだった。

 3コーナーから動いて前をひとマクりにし、さらに直線「飛んで」、2着を3馬身半突き放して圧勝。従来のレコードを1秒も短縮する3分13秒4という驚異的なタイムを叩き出した。「世界にこれ以上強い馬がいるのかなと、正直、思いますね」

 そう話した武は、以来、春の盾は8年、秋の盾は6年、手にしていない。

◆作家 島田明宏

◆アサヒ芸能4/28発売(5/8・15合併号)より

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身