社会
Posted on 2022年10月24日 09:59

北条貞時に滅ぼされ…死後100年も語り継がれた虐殺三昧の恐怖政治

2022年10月24日 09:59

 分不相応な専制政治を行い、その死後、住んでいた屋敷まで地獄の沈んだとされる人物がいる。元寇(げんこう)に立ち向かった鎌倉幕府8代執権北条時宗、そして息子の9代執権北条貞時の御家人(みうちびと)だった平頼綱だ。

 現在、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が放送され、御家人たちの争いが描かれている。だが実質、幕府を動かしていたのは御家人ではなく、御案内人だ。

 御案内人は御家人の執事で、今でいう政治家の私設秘書。頼綱は北条氏の嫡流である得宗家の御家人、執事にすぎなかったが、北条時宗が専制体制を強めるにつれて、強大な権力を手にした。まさに虎の威を借るキツネだ。

 4代以降、単なるお飾りになった将軍家の屋敷に比べ、得宗家の屋形内に設けられた頼綱の宿所は室内に金銀をちりばめ、そこで働く人たちは高価な綾や錦を身にまとっていたという。

 弘安7年(1284年)、時宗が死去すると、有力御家人・安達泰盛との対立が激化。弘安8年(1285年)の「霜月騒動」で安達泰盛一族を滅ぼして時宗の子・貞時を懐柔し、内管領という役職を得て、さらに幕府内外で絶大な権勢を振るようになった。日蓮は当時、書状の中で頼綱のことを「天下の棟梁」と評しているほどだ。

 霜月騒動の1年後から約7年間は、公文所を自らの意のままに運営し、管理を任されている強力な軍事力を背景に、寄合衆も支配した。

 その絶対的な権力は、執権もしのいだ。当時の文章には「今は貞時の時代ではないようになっている」との記述も残っている。

 だが、あまりの傍若無人な振る舞いに、執権・北条貞時も黙っていられなくなる。正応6年(1293年)、鎌倉大地震の混乱に乗じて貞時が軍勢を率い、経師ヶ谷にある頼綱の自邸を急襲。頼綱は自害し、一族は滅ぼされた。「平禅門の乱」である。

 頼綱の専制政治による恐怖は、死後100年近く経っても語り継がれた。室町時代に禅僧・義堂周信が熱海の温泉で、地元の僧から聞いた話として「昔、平左衛門頼綱は数え切れないほどの虐殺を行った。ここには彼の邸があり、彼が殺されると建物は地中に沈んだ。人々は生きながら地獄に落ちていったと語り合い、今でも平左衛門地獄と呼んでいる」と日記に記している。

(道嶋慶)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年01月14日 07:30

    昨年あたりから平成レトロブームを追い風に、空前の「シール」ブームが続いている。かつては子供向け文具の定番だったシールだが、今や「大人が本気で集めるコレクターズアイテム」として存在感を放つ。1980年代から90年代を思わせる配色やモチーフ、ぷ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月19日 07:30

    鉄道などの公共交通機関で通勤する人が、乗車の際に使っている定期券。きっぷを毎回買うよりは当然ながらお得になっているのだが、合法的にもっと安く購入する方法があるのをご存じだろうか。それが「分割定期券」だ。これはA駅からC駅の通勤区間の定期券を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月22日 07:30

    今年も確定申告の季節がやってきた。「面倒だけど、去年と同じやり方で済ませればいい」と考える人は少なくないだろう。しかし、令和7年分(2025年分)の確定申告は、従来の感覚では対応しきれないものになっている。昨年からの税制の見直しにより、内容...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/3発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク