芸能

ピンク・レディーの前座に「囚人服」で登場したA.R.B/日本音楽シーン「名作裏面史」

 俳優でミュージシャンの石橋凌が11月25日、文化放送「くにまる食堂」に生出演。80年代に在籍し、「めんたいビートバンド」として大人気だった「A.R.B」のデビュー秘話を明かした。

 石橋は福岡県久留米市出身。男ばかりの5人兄弟の末っ子で、高校2年生からプロを目指し、数々のオーディションに参加した。高校卒業後はイタリアンレストランで働きながらチャンスを狙っていたが、石橋曰く、

「石橋君、ミュージシャンは諦めてイタリアに行っておいで、と。8割方、コックさんもあるのかなと思っていたところに、福岡のラジオ局のディレクターの方から電話がありまして。『今、東京でA.R.Bってバンドができつつあるけど、ボーカルが決まらないらしい。君、オーディションを受けなさい』っていう。これが運命の分かれ道の電話でした。それで、デビューできたんです」

 バンド名の「A.R.B」は、作曲家アーヴィング・バーリンのスタンダード曲「Alexander’s Ragtime Band」からの引用。デビュー当初は「アレキサンダー・ラグタイム・バンド」と名乗り、日本のベイ・シティ・ローラーズを目指すアイドルグループとして、ピンク・レディーの後楽園球場コンサートの前座を務めたこともあるというから、驚く。石橋がその時の様子を回想する。

「でっかいピンク・レディー用ステージの横に、小さいステージがあって。『そこで20分やれ!』って言われまして。目立つように、白い上下をガムテープで横ジマにして、囚人服を作ったんですよ。ところが歌っていても誰ひとり、こちらを見てない、聴いてないってわかった。で、上半身はTシャツを脱いでハダカになり、3~4メートルあったステージから飛び下りまして、球場を走り回ったんです」

 ところが、そのパフォーマンスがレコード会社の上層部の目にとまり、レコード化が決定。ただしファーストアルバムは、硬派な抒情性を放つ石橋のボーカルが冴えるも、音楽的方向が定まらないまま、キーボードが入る5人編成。その後の持ち味となるソリッドさは、微塵もなかった。そんなA.R.Bの個性が確立したのが、2作目の「BAD NEWS」(80年5月発売)だった。

 メインソングライターで、バンドリーダーの田中一郎がイギリスのパンクバンド「クラッシュ」に強く影響を受けたことで、ギタースタイルをインパクトあるタイトなプレイにシフト。結果、石橋の骨太で存在感ある歌声が前面に出るようになり、そのパンキッシュなサウンドが、自分たちを取り巻く環境や壁を歌う歌詞と上手く絡み合う。「これぞ九州男児ばい!」といった男気を醸し出すことになる。

 A.R.Bはその後、メンバーチェンジを繰り返しながら活動を続けるも、石橋が俳優業に専念するため、90年10月27日の国立代々木第一体育館での公演をもって解散。98年に復活したが、06年に石橋が脱退し、現在に至っている。

(山川敦司)

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