エンタメ
Posted on 2022年12月08日 09:58

羽生善治が藤井聡太に挑戦「AI破壊」奇襲(2)きっかけはAIへの半信半疑

2022年12月08日 09:58

 羽生が多用する横歩取りについて、屋敷九段が解説する。

「後手番が誘導する、相居飛車で自陣の歩を取らせる戦法です。互いに玉の囲いが不安定な状態で戦局が進んでいくので、飛車、角、桂馬を動かす派手な空中戦になりやすい特徴があります。ただし近年は、青野照市九段(69)が考案した『青野流』などの横歩取り対策の影響で下火にはなりつつあります」

 昨今の将棋界は、コンピュータ将棋ソフトを用いた事前研究が主流。ものの数秒で数億通りの手をしらみつぶしに計算して、最善手を導く「AI」によって序盤から中盤の定跡化が進んだ。その流れの中で、かねてから対策が確立されていた横歩取りは「対AI」が相手となれば逆に有効だという。羽生世代の1人である先崎学九段が語る。

「タイトル戦で採用されることの多い『角換わり腰掛け銀』などの戦型と比べて、AIでの研究がやりにくい性質があります。横歩取りは戦型のタイプとして先の広がりが無数にあるため、AIも精査しにくいのでしょう。形勢を表す評価値が100~200ほどマイナスに振れてしまうので、最近はわざわざ戦型に選ぶ棋士も少ない印象を受けます。そんな状況で戦型に選択されたら、虚をつかれたと面食らう棋士もいるかもしれませんね」

 まさにトレンドに逆行する“AI破壊”の1手。一方で、その境地に辿り着くまでには、天才なりの紆余曲折が見え隠れしていた。

「昨年度の羽生さんの不調の裏にはAIへの迎合がありました。先の棋士人生を見越してAIを研究に取り入れたそうですが、どうもしっくりこなかったみたいです。ある程度のリスクを承知で続けていましたが、あまりにも負けが込んでしまった。数時間悩み抜いて導いた手を簡単に否定してしまうAIに、半信半疑になったんだとか。その比重を減らして、従来の対局相手の棋譜を並べて地道に研究する方法に回帰。羽生さんなりの“断捨離”が功を奏したようです」(将棋ライター)

 そんなデジタルデトックスは将棋以外にも表れているようで、

「オフの日は、ソファに座ってぼんやり遠くを眺めながら1~2時間過ごしているらしい。その間の動作は、片手でペットの犬とウサギを愛でるぐらいのもの。束の間の癒やし時間で脳みそを回復させて、長い対局に備えているといいます」(将棋ライター)

 このリフレッシュ方法には、同世代の屋敷九段もうなずくばかり。

「年を重ねるごとに、長時間集中するのがキツくなります。順位戦なら6時間、王将のリーグ戦で持ち時間4時間はとにかく長い消耗戦の側面がある。私も何も考えずにボーっとする時間を設けるようにしています。50歳を過ぎると、本当の意味で“休み”が次局の研究以上に大事な要素になるんです」

 ベテランならではの兵法があるわけだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2022年07月05日 17:58

    可愛さ余って憎さ百倍。いやはや、この2人のバトルは本当にすさまじかった。沢口靖子が主演したNHK連続テレビ小説「澪つくし」や、渡辺謙主演の大河ドラマ「独眼竜正宗」の脚本を手掛け、飛ぶ鳥を落とす勢いだった脚本家のジェームス三木氏。ところが19...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年07月31日 06:45

    堺雅人主演ドラマ「VIVANT」(TBS系)が3年ぶりの続編でも、圧倒的な存在感を放っている。第2シーズンの初回放送は、平均世帯視聴率18.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録。放送中にはXで世界トレンド1位になった。前作は2023年...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    芸能
    2026年08月06日 17:00

    2024年7月に停車中のロケバス内で共演者の女性に性的暴行をしたとして、不同意性交と不同意わいせつの罪に問われたのは、元お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二被告だ。その第6回公判が8月5日に東京地裁で開かれ、検察側は懲役7年を求刑。...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/8/4発売
    ■690円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク