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世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「阪神ドラ1・森下は話にならない」

 新聞やテレビで自主トレの話題がにぎやかになってきた。「いよいよ新しいシーズンがスタートする」と感じられる。そんな中、ヨーイドンでこけたのが、阪神のドラフト1位の森下翔太。1月9日の新人合同自主トレ初日から別メニュー調整となった。中央大学出身で外野のレギュラー候補として期待されている右の大砲。視察に訪れていた岡田監督からは「慌てず、ゆっくり。つまらんケガは自分も損する」と言われていた。キャンプインに備えて、どこまでブレーキをかけるのか、どこでアクセルを踏むのか、難しい判断やな。

 球団からは「右足のコンディション不良」という発表。細かいことはわからないけど、足まわりは一番大事。トレーナーも金の卵に対しては、ついつい過保護になりがちになる。シーズン前に壊してしまったら元も子もないから。今後の練習の強度は、痛めている箇所にもよる。最も気をつけなアカンのは足首。硬いなと感じたら危険サイン。アキレス腱をブチッとやらないように注意しないといけない。

 太ももとか、ふくらはぎは練習すると「張り」があって当然。トレーニングでパンパンに張った状態で練習を続けて、日々強くしていくものや。そうやって長いシーズンを戦い抜く足まわりを作っていく。だから、わざと「張り」を作ろうとしているのに、トレーニングの後にマッサージを受けて「張り」をとるのはおかしなこと。僕は現役時代にほとんどマッサージを受けたことがない。

 自分の入団当時のことを思い出すと、今の選手はほんまに恵まれている。おいしいものを腹いっぱい食べられるし、大浴場もあって、自分の部屋も冷暖房が完備されている。休日にはゆっくり自室で過ごすことができる。僕らの新人時代は部屋で1日過ごすことなんて考えられなかった。西宮球場に隣接していた選手寮は過酷な環境やった。新人に与えられたのは、ベッドの横に畳1畳ないぐらいの細い部屋。クーラーもついていないから、夏は暑いし、冬は寒い。おまけに、ご飯も粗末で、社会人時代のほうがよっぽどよかった。みんな、部屋にいるのは寝る時だけ。僕にいたってはこっそり自宅に帰って、朝早くに戻っていた。

 阪急の若手は、そういう環境でハングリー精神が養われていたのかもしれんね。レギュラーで寮住まいの選手はクーラー完備のいい部屋が与えられていた。

「早くあんな部屋をもらえるようになりたい」と2軍の選手は思っていた。だから、僕もレギュラーの選手に追いつき追い越せと、何倍もの練習をやってきた。同じ練習量では追いつけるわけがないからね。今は自軍に限らず、先輩選手に弟子入りする形の合同自主トレが盛んやけど、どうなんかなと思う。先輩と言えどライバル。同じ練習をしていたら、いつまでたっても追いつけない。

 プロ野球選手にとって、人より多い練習量に耐えられる「強い体」というのは何よりもの武器となる。阪神のドフフト1位・森下のようにキャンプ前から離脱しているようでは話にならない。技術を磨くのも大事やけど、プロの体を手に入れるのはそれ以上に大事なこと。パンク寸前の極限まで追い込めるかは、自分で自分の体をわかるようにならないと。「張り」の上に「張り」を積み重ねて、強靱な体を作ってほしい。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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