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掛布雅之 7月はタイガース全体がゾーンの状態に(1)

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 阪神が7月に入って息を吹き返しました。1日のヤクルト戦(倉敷)から7年ぶりの8連勝をマーク。その間、5日のDeNA戦(横浜)の7回から、9日の広島戦(甲子園)の7回まで延べ4試合で、プロ野球記録となる27イニング連続安打を樹立しました。ゴメス、マートンの両外国人が打線を引っ張り、打ち勝っていく形は19勝10敗と好調だった3~4月の戦いぶりと同じです。

 好調の7月戦線で大きいのは、4番・ゴメスがもう一度調子を上げてきたことです。暑くなって体に切れが出てきたのと同時に、精神的な充実ぶりも見逃せません。今の阪神は、よきにつけ、あしきにつけ、ゴメスのチームになったということです。象徴的なシーンが7月8日の広島戦(甲子園)でありました。

 1-1の同点の3回二死から左前安打で出塁すると、続くマートンの打席で来日初の二盗を成功。巨体を揺らしてのスチールに、スタンドもどよめきました。大瀬良─倉の広島バッテリーは完全にノーマークで、まさか走ってくるとは思わなかったのでしょう。少なからず動揺したのは間違いありません。マートンの四球のあと、福留の中前打でゴメスが決勝のホームを陥れました。

 その前日の7日には夫人と生後半年の娘が来日していました。異国の地でお金を稼ぐパパとして、自宅のテレビで観戦する家族にいいところを見せようと発奮したこともあったのでしょう。同時にあのスチールは、自分がチームを引っ張らないといけないという意識の表れでもあります。

 ゴメスのホームランを打ったあとの新パフォーマンスも新聞報道などで注目されています。最初に披露したのは7月5日のDeNA戦(横浜)の7回に14号2ランを放ったあとでした。ベンチに戻ると、今成と2人でステップを踏んでヒップアタック、最後に「コマネチポーズ」で締めくくったのです。

 私は昨季まで、阪神ナインがベンチ前に総出で行っていたホームランのあとの決めポーズ「グラティ」は相手への敬意を欠くために否定的な考えでしたが、今回のゴメスのパフォーマンスについては気に留めていません。ファンや相手に向けてのものではなく、「本人が楽しんでやっている分にはいいのではないか」というスタンスです。

 今回の8連勝中、ゴメスは4本のアーチを放ちましたが、同じく4本塁打した選手がいます。福岡大学からドラフト4位で入団したルーキー捕手の梅野です。見ていて気持ちがいいほどのフルスイングが持ち味の打者で、タイミングよくバットに当たれば打球は軽くフェンスオーバーします。右肩とグリップが一緒に出る傾向があり、確率はまだまだ低いのですが、8番打者なら十分の存在感を見せています。まずは2桁本塁打を目指してやってほしいものです。

 梅野は7月上旬ですでに6本塁打ですから、2桁の本数はハードルが低すぎると思われるかもしれません。でも、プロの世界はそんなに甘くはないのです。連勝期間中の梅野のホームラン量産体制は、彼が「ゾーン」に入っていたからなのです。

「ゾーン」というのはアスリートが自分の持つ最大能力を発揮できる絶好調の状態をいいます。どんな選手でも「ゾーン」は訪れます。その期間を少しでも長くし、シーズン中に何度も同じ状態に持っていけるようになれば、一流選手になれるのです。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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