芸能

ジャニーズとテレビ隠蔽史(上)「重く受け止める」の横並びで野放しの反省ナシ

「マスメディアが正面から取り上げてこなかった、などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります」

 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題に関して、「外部専門家による再発防止特別チーム」による調査報告書が公表されたのは8月29日。芸能関係者が語る。

「完全な外部の第三者委員会ではなく、同事務所が設置したチームであったことから、どこまで踏み込んだ調査が行われるのか懐疑的な見方もありましたが、ジャニー氏による性加害の事実をきっちり認定し、その被害者が数百人に上るだろうということも明言。世間を納得させるに十分な調査結果でした」(芸能関係者)

 この問題を取り上げてこなかったメディアへの厳しい指摘もあり、日本テレビは冒頭のようなコメントを発表。

「翌日までにNHKを含む全民放キー局がコメントを出していますが、いずれも『重く受け止める』といった言葉の横並びで、今後の姿勢や対応について具体的な文言はありませんでした。多くの人気タレントを抱える同事務所への忖度から、2004年には裁判で認定もされているジャニー氏の性加害問題を取り上げてこなかったことで野放しにしてきたことへの反省は見えず、なんならシレッと同事務所を追求する側に回ろうという気配も窺えますからどうしようもない」(前出・芸能関係者)

 ジャニーズの歴史は、テレビのジャニー喜多川氏の性加害隠蔽の歴史でもある、ということをまずは認めることがテレビ界に求められることであるはずだが…。

「ジャニーズの初代タレントといえば、その名も『ジャニーズ』ですが、結成当初は別のプロダクション内の『新芸能学院』に籍を置いていました。1962年にジャニー氏が事務所を創業し同事務所初の所属グループになり、65年にはNHK紅白歌合戦出場。アイドルとして大人気となりましたが、67年、ジャニー氏は新芸能学院から、それまでの授業料やスタジオ使用料、宿泊費の支払いなどを求められ訴えられています。この裁判の中で注目を集めたのがジャニー氏の性加害疑惑でした」(芸能プロ関係者)

 4人のメンバーは証言台に立ち、原告側弁護士からの性加害行為があったのかについて問われ、全員がこれを否定する答弁を行っているが、

「のちにメンバーだった中谷良は、89年に上梓した自著『ジャニーズの逆襲』の中で、〈事前に答弁の言葉は決められていました。ジャニー喜多川氏が、それが自分たちにとって最高の手段であるのだとみんなを説き伏せて…〉と明かし、この時にジャニー氏の性加害行為を公にできていたら、ジャニーズ事務所はその時点で崩壊していたかもしれず、その後の被害者も生まれていなかったのではと、心を痛めていると綴っていました」(前出・芸能関係者)

 その後、フォーリーブス、郷ひろみを大ブレイクさせて勢力を拡大していき、芸能界、テレビ界に大きな影響力を持つようになると、この問題はうやむやに。テレビ界がジャニー氏の性加害行為を放置した罪は非常に大きい。

(露口正義/(中)に続く)

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