国内旅行の人気スポット上位に必ず登場する沖縄。ところが沖縄旅行の総合的な満足度の全国順位は前年度の2位から9位に下がり、2018年度以降で3位以下にランクを落とすのは初という結果になった。これはリクルートの調査研究機関「じゃらんリサーチセンター」による、2022年度の国内宿泊旅行に関する調査結果である。
項目別では「体験・アクティビティ」「地元の人のホスピタリティ」「現地で観光情報を入手できた」は1位だったが、「現地へのアクセス」が前年度比5ポイント減の43%で21位。唯一、全国平均を下回った。この調査を元にこの夏、沖縄を旅行したという人に聞いてみると、次々と不満が出てきたのである。まずは40代の男性から。
「15年前に初めて沖縄に来た時は、那覇でも昔ながらの沖縄らしいローカルな食堂や商店街が残っていました。それがコロナ前から、本島から進出したSNS映えを狙ったカフェやレストランが増え、昔の雰囲気はすっかりなくなりました。国際通りも似たような土産物屋ばかりで、面白みがありません。中途半端に都会になってしまったように感じます」
旅先でその土地ならではのローカルな食事や、地元の人との触れ合いを求める旅行者は多い。しかし、今の那覇市内にはチェーン店や大型ショッピングモールなどが増え、昔のように「不便さを楽しむ旅」ができなくなったという。一方、20代の女性からはこんな声が。
「本島中部に泊まっていたのですが、あらかじめ調べていた飲食店がすでに閉店していたり、休業したりしていました。コロナ禍で多くの店が打撃を受けたのかもしれません。でもSNSに載っている情報は新しい店のものばかりで、面白くないんですよね。しかもそういう店は観光客で溢れていて、予約しないと入れない。ガイドブックでもっと地元に密着した情報を、正しく載せてほしいと思います」
この他にも「レンタカーが高すぎる」「交通網が不便で那覇以外はアクセスしづらく、地方に行きづらい」などの声が上がった。
今の沖縄は外国人観光客が戻ったこともあり、どこも混雑している。蔓延的な人手不足の影響で、閉店する飲食店も多いだろう。「沖縄本島で気軽に南国気分をゆっくりと味わいたい」「ローカル感を楽しみたい」という人にとっては、満足度が低いと感じてしまうようだ。
(東堂遼)