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記事全文を読む→「たけし金言集」殿の映画を絶賛してくれた淀川長治との出会い(2)
で、30分程して戻ってきた殿は、
「参ったよ。淀川さんが俺の腕つかんで離さねーんだよ‥‥」
と、実に嬉しそうに、“サプライズ演出に喜んだ淀川さんが、なかなか帰してくれなかった”といった報告をされたのです。そして、しみじみ冒頭でも紹介した言葉を漏らすと、続けて、
「他の評論家に悪く言われてもよ、淀川さんに褒められたらまた頑張って映画撮ろって気になったもんな」
と、どこか独り言のように、黙って運転するわたくしに語ってくれたのです。そして、知人との食事会を切り上げた殿は、まっすぐ帰宅されたのでした。
最後は、少しばかりコミカルな殿と淀川さんの思い出も1つ──。
淀川さんが主催され、毎年、その年に活躍された映画人を表彰する「淀川長治賞」といった賞があって、以前殿はその賞に選ばれ授賞式に参加されたことがありました。この時、付き人で同行したわたくしは、淀川さんの前で、とにかく恐縮され、照れまくっていた殿のお姿に、〈なんてチャーミングな大人なんだろ〉と、弟子の身でありながら、思いっきり上から目線の感想を抱いたことをはっきりと覚えています。
で、この当時の殿には、頭を短髪に刈り込み、ヒゲを濃く生やして、少しポッチャリした男性マネジャーが付いていたのですが、淀川さんはそのマネジャーを見つけると、「君は名前は何ていうの?」「いつもたけしさんのマネジャーをやってるの?」等々、興味津々に、何度もそのヒゲのマネジャーに話しかけられていました。さらには、「今度、わたしと一緒にお風呂に入ろうね」と、淀川さんが軽い冗談を言われると、周囲はドッと沸いたのです。
そんな、大変なごやかな授賞パーティーが終わり、殿、マネジャー、わたくしの3人で帰りの車に乗り込むと、車が走りだした途端、
「しかし淀川さんは○○○(マネジャーの名前ね)を気にいってたな~。まーでも先生にはいつもお世話になってんだからよ。○○○は今度一緒にお風呂に入って、一度ちゃんと先生の体を流してやんなきゃダメだな!」
と、まるで業務命令のごとく、わりと真剣に指示を出されていました。
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