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恩師トミー・ラソーダは親しみを込めて「オキナワ」と呼んだ/「大谷翔平を使いこなす男」デーブ・ロバーツ監督を大解剖(3)

 日本生まれの監督として初めてワールド・シリーズで采配を振るい、しかも世界一になったデーブ・ロバーツ監督の人心掌握術のルーツは、日本球界となじみの深いトミー・ラソーダ氏にあった。

 ラソーダ氏がドジャース監督に就任したのは1976年9月。1996年シーズン途中、健康上の不安を理由に自ら退任するまで、20年にわたってドジャースを指揮した。監督としての通算成績は1599勝1439敗。地区優勝8回、リーグ優勝4回、ワールド・シリーズ制覇2回の名将である。

 勇退後の1997年にアメリカ野球殿堂入りし、これを記念して同年8月15日には監督時の背番号「2」が、ドジャースの永久欠番に指定されている。

 そんなラソーダ氏とロバーツ監督の出会いは、2002年の春季キャンプだった。1998年、インディアンス(現ガーディアンズ)でメジャーデビューを果たし、2001年オフにドジャースに移籍したが、レギュラー定着にはほど遠かった。

 2001年はわずか15試合の出場。12打数4安打、0本塁打という成績に終わっていた。ロバーツ監督は、

「これから(自分が)メジャーでやっていけるかどうか、という時だった」

 と、のちに回想している。

 ゲージでジャック・クラーク打撃コーチに指導を受けていた時のことだ。ラソーダ氏が突然現れて「ボールをシバけ」とアドバイス。その後、2時間にわたって打撃指導をしてくれたという。以降も打撃練習の際には打撃投手役を買って出てくれ、「カーブが打てなくてはダメだ」と忠告している。

 当時のラソーダ氏は、2000年シドニー五輪でマイナー選手中心のアメリカ代表チームを72歳という高齢で率いて金メダルを獲得した、雲の上の存在だ。

 そのラソーダ氏がロバーツ監督のことを「オキナワ」と親しみを込めて、接してくれたのだ。ロバーツ監督は、

「たぶん、自分の名前を知らなかったと思う。自分が監督になるまで知らなかったと思うよ」

 というが、その接し方が今も自らの基本になっているという。

「トミーから学んだことは、人と真摯に接するということだ。真摯に接するから、選手は彼を尊敬する」

 今季も大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンなどの超大物選手をソノ気にさせ、首位街道を驀進するドジャース。52歳の指揮官の心には、名将の教えが刻まれている。

(阿部勝彦)

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