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記事全文を読む→世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「岸田と藤川、投手出身新監督の『弱点』」
昨年、関西決戦の日本シリーズで戦った阪神・岡田監督とオリックス・中嶋監督が共に退任した。岡田監督は体調面できつそうな感じはあったから、ひょっとして、とは思っていた。中嶋監督の方がビックリ。就任1年目から昨季までチームをリーグ3連覇に導き、悪かったのは5位の今年だけ。年齢的にも55歳で体力はあり余っているはず。球団は何度も慰留したというが、あまりにも潔い責任の取り方となった。
中嶋監督が退任理由で語っていたのが、チームにはびこってしまった「緩さ」やった。
「慣れという部分が今年は強く出てしまった。初めに言っていたのは全力疾走であり、(キビキビした)攻守交代であり、そこはしっかりやってくれと、どれだけ言っても改善されなかった」と、会見で指揮官の苦悩を明かしていた。ふつうは監督、コーチが叱れば、選手はピシッとするもの。阪急が4連覇(75~78年)した頃は上田利治監督が練習中に少しでも手を抜くと、ギャンギャン叱り飛ばしていた。3連覇したチームの体質が今年のオリックスのように緩むのは信じられない。
そういう雰囲気を改善できなかったのは、球団の顔といえる選手がいなかったこともある。例えば、巨人なら菅野、坂本。彼らが先頭に立ってグラウンドの規律を守っていれば、若い選手は手を抜くことはできない。「重し」になる選手がオリックスにはいなかった。今年限りで引退するT-岡田や安達はそのタイプではない。ラオウ杉本らも試合に出たり出なかったりで、自分のことだけで精一杯やったと思う。調子のいい時は若い選手だけでノリノリでやれても、ほんまに苦しい時に背中で引っ張ってくれるベテランが必要なのは確か。
そういう意味では、阪神も同じやったかもしれん。岡田監督が率いたこの2年はキャプテン制を敷かなかった。肩書はともかく、大山や近本はおとなしい性格やし、先頭に立って引っ張るタイプではない。03年、05年の優勝時はファンからも「アニキ」と呼ばれた金本知憲がいた。そして、投手では新監督に就任する藤川球児が長年、先頭に立って引っ張っていた。
オリックスも同じく、リリーフ投手で活躍した岸田護が新監督に就任した。僕が気になるのは、どういう組閣をするか。2人とも投手交代は間違いなく得意なはずやけど、攻撃面や野手の守りについて、専門のコーチとコミュニケーションをとって進めることが大事になってくる。僕の現役時代を振り返ると、投手とはあまり飲みに行ったり遊んだ経験がない。練習も野手と別やし、投手は投手同士で固まっていることが多かった。投手出身者は人脈という点で苦労するはず。投手は「お山の大将タイプ」が多いので、藤川も岸田も監督として「聞く耳」をしっかり持つことが成功につながると思う。
今年はセ・リーグが巨人の阿部監督、パ・リーグが小久保監督と、共に1年生監督が優勝した。来年は藤川、岸田両監督が続くかもしれん。新監督のもとでは往々にして、今までチャンスに恵まれなかった選手が張り切ったりするものやから。岸田監督は「無理に厳しさだけを強調しても薄っぺらい」と就任会見で話した。藤川は、チームに影響力のあるベテランがほしいと語っている。関西2球団の来季の野球が今から楽しみで仕方がない。
福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。
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