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記事全文を読む→中田英寿とW杯代表チームに…自らの采配を詫びたサッカー・西野朗監督の「謝罪哲学」
筆者が見てきた中で、サッカー元日本代表監督、U-23代表監督の西野朗氏ほど、予想外の言動を見せる指導者はいなかった。
とりわけ印象に残っているのは1998年、西野氏がJリーグ柏レイソル監督時代に取材した時のことだ。この時、中田英寿はセリエAのペルージャで大活躍していた。U-23監督としてアトランタ五輪(1996年)の日本代表を率いた西野氏は、中田とは因縁がある。
第2戦のナイジェリア戦で、戦術をめぐって中田と意見がぶつかった。中田は「勝てる」という感触を持っていたようで、一方的に押される展開を変えるため、ハーフタイムに「もっと最終ラインを上げるべき」と主張。これに対し西野監督は「相手はスピードのある選手が多く、そう簡単にラインを上げられない」として、中田の提案を退けた。
西野監督は3戦目のハンガリー戦では、中田をスタメンから外した。試合には勝利したものの、結果的にナイジェリアに0-2で敗れたことが響き、決勝トーナメントには進めなかった。ただ、中田の意見を通していたら、どうなっていたか…。それは永遠に分からないのだが。
西野氏は中田がイタリアで活躍していることについて「本当に素晴らしい」と絶賛。そこでアトランタ五輪時の采配について聞くと、
「彼(中田)にはすまないことをしたと思っている。本当に素晴らしい才能の選手だ」
そう言って、謝罪の言葉を口にしたのである。これに筆者は愕然とした。「当時の判断としては間違っていなかった」などという言い訳は一切しなかったのである。中田がイタリアで活躍していることとは無関係に、あの采配を悔やんでいたようだった。
公然と自身の采配の誤りを認められる指導者は、あまり見たことがない。西野監督は2018年、ロシアW杯のグループリーグ最終戦のポーランド戦で、驚きの采配をふるった。同時進行中の、2位争いを展開しているセネガルが0-1で敗れた、との情報を得た西野監督はラスト10分、攻めるのをやめ、自陣内でパスを回し続けるという手法に打って出た。たとえ日本が敗れてもセネガルとは勝ち点と得失点差で並び、イエローカードが少ないチームに与えられる「フェアプレーポイント」の差で上回る。決勝トーナメント進出できると判断したのである。
西野監督のギャンブルは成功し、日本は決勝トーナメント進出を決めた。ただ、この采配には世界のメディアから批判があった。
試合後、西野監督は選手たちに「あんな試合をさせてすまなかった」と謝罪している。これを聞いた時、中田への謝罪の言葉を口した際の西野監督の表情を思い出した。そして中田に対する言葉以上に、筆者はこの謝罪の言葉に、勝負師としてのすごみを感じたのである。
(升田幸一)
アサ芸チョイス
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