社会
Posted on 2025年01月19日 17:59

「抜けば雪が降る」伝説…徳川家康の実子が所有「天下の名鎗」は東京大空襲で焼失していた

2025年01月19日 17:59

 徳川家康の実子であり、豊臣秀吉の養子にもなった結城秀康が所有していた槍がある。1945年3月10日の東京大空襲で消失したため、今は幻となったものだ。江戸時代には黒田節に登場する日本号と並び称され、明治時代には「天下の三名槍」と言われた御手杵の槍である。

 室町時代に駿河国嶋田(現在の静岡県島田市)で活躍した刀工・義助の作とされ、長さは4尺6寸(1.38メートル)。柄の9尺(2.7メートル)と合わせると、4メートル以上になったという。穂の断面は正三角形で、深く刻まれた樋(細い溝)が特徴的だった。

 穂(刀)を収める鞘が細長い片手付きの杵の形をしていたことから、御手杵の槍と呼ばれるようになったのだが、別の説もある。戦場で挙げた敵の首十数個をこの槍に差して城に帰る途中、真ん中に刺した首だけがボトンと落ちた。その槍の様子が臼でもち米やコメをつく杵に見えたことから、御手杵の槍と呼ばれるようになったという逸話があるのだ。

 もともとは下総国結城の17代目当主・結城晴朝が作らせたものだった。晴朝は結城から福井に転封される際、金銀財宝領地内に埋めたとされる「黄金伝説」の持ち主で、実際に「結城家の財宝」は江戸時代に何度か、発掘作業が行われている。

 秀康の死後は継承により松平大和守家に伝わり、参勤交代の際には馬印として用いられたという。その鞘は黒熊毛で覆われ、高さ5尺(1.5メートル)、重さは6貫目(約23キロ)以上もあったとされる。

 江戸時代末期には11代将軍・徳川家斉の24男である松平斉省が所有し、新たに黒熊毛の鞘ではなく、月の輪熊の毛を白く染めた杵形白熊毛鞘を作らせている。

 徳川家にゆかりがあり、「抜けば雪が降る」との伝説がある名槍だったが、戦火には勝てなかった。東京大空襲の際、継承していた松平家の蔵にも焼夷弾が直撃。中にあった御手杵の槍は高温で溶けてしまった。その後、数奇な運命を辿ったこの槍は、レプリカが作られている。

(道嶋慶)

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    政治
    2026年09月30日 20:00

    「再結集した公明としての新しい出発になる」記者会見で党勢拡大への意欲を示したのは、公明党の西田実仁幹事長だった。中道改革連合の分裂に伴い、離党した公明党出身の衆院議員28人が間髪を入れずに、元の所属先へと復党した。これで衆参両院合わせて49...

    記事全文を読む→
    女子アナ
    2026年10月04日 11:15

    宮根誠司アナが司会の「情報ライブミヤネ屋」(日本テレビ系)が10月2日に放送開始から約20年で最終回を迎えた。読売テレビ制作の関西ローカル放送として、2006年7月31日にスタート。2008年3月31日から全国ネット放送を開始すると、一時期...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    政治
    2026年10月05日 11:30

    アメリカ・トランプ大統領との首脳会談の場を利用し、高市早苗首相への的外れな口撃に終始したのは、中国の習近平国家主席だ。日本のメディアは米中双方が「同盟」という言葉をどう使ったかなどと、表層の言葉尻を捉えて大騒ぎしているが、完全に本質を見誤っ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/29発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク