豊昇龍に遅れること2場所、大の里がついに横綱昇進である。これから2人の時代がしばらく、続いていくことだろう。
両者の相撲を目の当たりにして思い出したのが、柏鵬時代の幕開けである。攻めの柏戸、守りの大鵬と言われた。翻って、鋭い出足と圧倒的な馬力の大の里、そして豊昇龍は体重149キロと比較的に軽量であるため、鋭い動きから投げ技を駆使する相撲が多く見られる。相撲ライターが言う。
「柏鵬時代の2人の対戦に限って言えば、大鵬21勝、柏戸16勝と互角に近かった。この『大豊時代』もおそらく、そうなると思います。夏場所の千秋楽は豊昇龍が右を差して左上手を取り、大の里の当たりを土俵際で回り込みながら、上手ひねりで転がした。豊昇龍が存在感を見せましたが、来場所は大の里が巻き返すと思います」
大の里には稽古不足が指摘されている。師匠の二所ノ関親方も、もっと稽古をするよう促している。豊昇龍との対戦成績は1勝6敗と(不戦勝を除く)、なぜか分が悪い。来場所以降、両者はどんな対戦を重ねていくのか。
「豊昇龍はひとつ負けると、もう負けられないとして、余計に硬くなる。夏場所序盤がそうでした。彼の脳裏には叔父さん(朝青龍)の姿がある。強いが、なかなか優勝できない。そんな土俵人生になるかもしれませんね」(前出・相撲ライター)
ライバルの激突で、相撲界が盛り上がるのは間違いない。
(蓮見茂)