大谷翔平が投手復帰しても「ドジャースの台所事情は変わらない」とみるべきだろう。
メッツの本拠地シティ・フィールドで大谷が実戦形式の投球練習「ライブBP」を行ったのは既報通り。しかし復帰時期を予測するにあたり、見落としてはならないポイントが隠されていた。
それは初のライブBPがシーズン中の試合前に行われたこと、対戦バッターが控え選手と球団スタッフであったこと。現地メディアや関係者からの情報を総合すると、シーズン中、それも敵地で行われることは珍しい話ではないようだ。
「シーズン中に負傷からの復帰を目指す投手がライブBPを行う際、マイナー選手を呼び寄せ、打席に立たせるのが一般的です。ベンチ入り選手には試合前、各々の練習がある。ニューヨークまでの移動時間もあり、今回は控え選手が協力する形になりました」(現地記者)
復帰までのスケジュールを統括する立場にあるマーク・プライヤー投手コーチは「大谷、監督、担当トレーナーと話し合って」と復帰を急がない旨を強調している。
「5月31日に2回目のライブBPが行われるようです。1週間に1回をメドに1カ月ほど行い、右肘の疲労具合を見ながら復帰までの練習メニューを決めていくそうです」(前出・現地記者)
この31日のライブBPがカギになりそうだ。一般的な復帰メニューとしては、ライブBPを数回行った後、マイナーで実戦登板をし、メジャーのマウンドに立つ、というもの。しかしドジャースは「打者・大谷を試合から外せない」としており、第2段階のマイナー登板はなさそうだ。
そのため、公式戦で「調整」させるプランが浮上し、「ライブBP数回後」から7月12日のジャイアンツ戦か、7月19日のブリュワーズ戦がその舞台となりそうなのである。
「大谷は1回目のライブBPで22球を投げました。マイナーでの実戦登板には、肩のスタミナを養う目的も含まれています。それができないとなれば、公式戦で投げさせる以上、試合を壊さないためにも『1イニング』で止めておかないと…」(前出・現地記者)
1イニングしか投げさせないということは、救援投手を総動員させるブルペンデーになる。負傷者続出のドジャースで先発投手が不足している事態は変わらないが、19日のブリュワーズ戦は本拠地で行われ、12日は敵地だ。興行面を加味すれば、「1番DH兼先発投手」で大谷がアナウンスされる舞台は、本拠地の方がいい。毎週土曜日、中5日でライブBPが行われていけば、7月19日のドジャースタジアムは超満員となるだろう。
(飯山満/スポーツライター)