強いチームにはそれだけの理由があるものである。オリジナル10のひとつで、国内三大タイトル19冠を誇る鹿島アントラーズであれば、強さの秘密は紅白戦にあると、鹿島OBでサッカー元日本代表の鈴木隆行氏が、鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルで明らかにした。
高卒で鹿島に入団した鈴木隆行氏だったが、練習についていけず、後半戦ではずっとBチーム。Aチームのディフェンダーである秋田豊とマッチアップすることが多かった。
「秋田さんはもう、あのまんまだから。顔のまんまだよ、プレーも。紅白戦はバッチバチどころじゃない。殺し合いみたいになっている」
毎週木曜日に紅白戦が行われ、サブのBチームはその時だけアピールできるため、紅白戦に合わせて調整していたという。
「実力のあるサブが集まっていて時々、相手を凌駕することもあるから、もうバチバチになるわけ。木曜日はすごく緊張感があった。しかもあの当時はロッカーも別々だったから、サブチームには結束力があった」
そんな中、ゴリゴリにプレーしてくるBチームに、レオナルドが鬼ギレしたことがあった。レオナルドは当時ブラジル代表で、華麗なプレーから「貴公子」と呼ばれた選手だ。
「レオナルドがいた時に、紅白戦でBチームの調子がすごく良かった。何点もBチームが取って、かなりの勢いで調子が乗って上回ったところで、レオがBチームの態度か何かにキレて、自陣のゴール前でボールを持った時に、7人ぐらい抜いて、最後は(ゴールを)入れられた。ロッカーに帰ってきて、やっぱりあいつは違うってなった(笑)。あいつだけは認める、みたいな雰囲気になった」
よくブラジルでは練習からガツガツいくと言われるが、ブラジル出身のレオナルドが怒ったぐらいだから、鹿島の練習はかなり激しかったのだろう。納得のエピソードである。
(鈴木誠)