サッカー2002年日韓W杯では現場に出ることはあまりなかったが、非常に苦い思い出がある。
それは韓国の試合に関する「誤審騒動」だ。特にイタリア戦でのモレノ主審の「誤審疑惑」はその後、FIFA認定の「世紀の誤審ベスト10」に選出されるなど、今でも話題になるが、当時は表立ってそれを口にできる雰囲気ではなかった。
サッカー解説者は「レフェリーの判断だから…」と口ごもり、誤審の「ご」の字も口にすることはなかった。テレビで「あのレフェリーはおかしい」などと口にしたのは、今は亡き飯島愛ぐらいだった。ただ、この発言にはかなりの批判があったと聞く。
そうした中、筆者は当事者のイタリアがどんな報道をしているか調べたところ、このレフェリーのジャッジについて「勝利を奪った」「信じ難い誤審」などと辛辣なものがいくつかあり、これを紹介する形で記事にした。
ところがこれが在日韓国人の反感を買い、抗議の電話が殺到。「とんでもない記事だ」「非常に傷つけられた。謝ってほしい」などなど。「いや、イタリアの報道ではこうなんですよ」と説明しても、納得してくれない。
その後の韓国×スペイン戦でも不可解なジャッジがあったが、韓国戦に触れるのはタブーのように…。
最近になって冷静な分析記事が出るようになったが、当時の雰囲気は異様だったのである。
(升田幸一)