陸上男子200メートルの日本記録保持者(20秒03、2003年)にして、2008年北京五輪では4×100メートルリレーで日本代表を銀メダルに導いた日本男子短距離界のレジェンド。末續慎吾が45歳を迎えてなお、9月に開催される「東京世界陸上」出場に向けて挑戦していたことをご存じだろうか。
まずは日本選手権出場に向けて、標準記録10秒34を6月11日までに出すことが求められていた。そのラストチャンスとなる6月8日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催された関西実業団選手権のオープン種目「男子100メートル」に出場するも、11秒08で届かず。その様子を自身のYouTubeチャンネル〈末續慎吾 Official Channel〉で公開している。
レース後の末續は両手で目を覆うように俯いて男泣き。インタビューにはこう答えている。
「久しぶりにフライングしたね。手が震えちゃってさ。背負うとかそんなんじゃなくて、初めてこういう自分の挑戦のプロセスでやったから、震えたな。フライングしちゃった。そこからもう覚えてないっすね」
1回目のフライングを振り返ったところで、
「東京世界陸上への挑戦、本気でやってたしなぁ。ちょっと感情の整理がつかないんですよね。でも、走りたいという気持ちもあるんだよね。(中略)東京世界陸上という挑戦に、少しでも頑張ってと思った全ての人に、本当にありがとうございました」
2022年に40代の日本記録10秒77を出したとはいえ、末續のチャレンジは無謀だったのだろうか。
世界に目を向ければ、2003年の世界選手権パリ大会で100メートル金メダリストのキム・コリンズ(セントクリストファー・ネイビス)が、2016年5月29日に40歳54日で9秒93の自己ベストで快走。40歳以上で9秒台をマークした初の選手となった。
末續にも中高年の星として、今後も大いなる活躍を期待したい。
(所ひで/ユーチューブライター)