社会

土壌ラドン濃度・衛星観測・上空発光…火山噴火と大地震「前兆キャッチ」の新技術がスゴイ!

 火山噴火や地震の前兆として古くから注目されてきた、自然界の様々な「変化」が、最新の科学技術で再びクローズアップされている。

 例えば「7月5日に大地震が起きる」という噂が拡散しているが、土壌ガス濃度や衛星データ、動物の行動、上空の発光など、多角的な観測手法が研究論文として報告されている点に着目したい。

 まず、土壌中のラドン濃度は、地殻応力(地下の岩盤にかかる力)との関連が指摘される代表例だ。2019年7月に「Journal of Environmental Radioactivity」誌に掲載された論文では、パキスタン・アザドカシミール地方の断層帯で連続計測したラドン時系列データをAIモデルで解析し、気象ノイズと地震前兆とみられる急上昇パターンを高精度で識別できる可能性が示された。ただし、日本の阪神・淡路大震災や熊本地震のデータは対象外で、「特定日予測」への言及はない 。

 地球周回衛星による電磁波・プラズマ観測も、前兆研究の新領域だ。2025年4月刊「Space Research」誌掲載の論文では、衛星データの解析で能登半島地震の20日から30日前に、電離層の電子数が通常より下がる異変が捉えられ、地震前日には超低周波の微弱な電磁波が強まっていた。

 地中のひずみが空間にも影響を与えた可能性を示すこれらの前兆は、複数の衛星センサーをリアルタイムで解析することで、遠隔地からでも地震の兆しをいち早くキャッチできる手法として期待されている。

 こうした計測装置が整う以前、人々は動植物や上空の光に前兆を求めてきた。古代ギリシャではヘビが異常行動をとったとされ、日本でも1923年の関東大震災前にカラスや犬が騒いだ記録が残る。近代では2011年の東日本大震災直前に深海魚(リュウグウノツカイなど)が打ち上げられた例が複数報告されているが、いずれも再現性や定量評価は困難なままだ。

 さらに「地震光」と呼ばれる夜空の帯状・球状発光は、1981年の淡路島地震や2008年の四川大地震で知られる。近年では2022年1月の中国・青海省地震(M6.6)で黄色い球状発光が複数のカメラに記録され、同年3月16日の福島県沖地震(M7.4)では宮城県仙台市中心部の監視カメラが、地震直前に青白い閃光を捉えた。これらはいずれも原因究明や再現性の課題が残る単発例だが、映像データとして明確に確認されている点で貴重だ。

 現状、これらの研究・観測は「7月5日に地震が起きる」と断言できるようなものではない。しかし土壌ラドンや衛星観測といった定量的手法の進展によって、より精度の高い防災情報が実現しつつある。地震の発生判断は気象庁や研究機関の地震・GPS観測が最優先されるが、新技術はそれを補完する判断材料になっていくだろう。

(ケン高田)

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