テレビでよく見る「血管年齢を若返らせる」などの健康特集、実はこれウソらしい。一度劣化したら元には戻らないというのだ。だがあきらめるのは早い。そこを流れる血液が生まれ変われば、まだ何とかなる。日本が世界に誇る凄腕ドクターが本誌初降臨、福音を授ける!
「巷では『血管を若返らせましょう』というような書籍や宣伝を目にしますが、血管は若返ることはない。老化とともに劣化します」
こう語るのは、心臓血管外科医として2019年から6年連続で心臓ロボット手術の執刀数世界一を誇る、「ニューハート・ワタナベ国際病院」の渡邊剛総長だ。渡邊氏が続ける。
「中高年以上の人の血管は多かれ少なかれ劣化しています。血管がボロボロになると、突然血管が詰まったり、破れたりして血液が流れなくなってしまいます。その発生場所が心臓なら心筋梗塞や大動脈破裂など。脳ならくも膜下出血、脳梗塞など。生命機能の中枢がダメージを受ければ、人生が終わることもあります」
中高年読者には実に恐ろしい話だ。暴飲暴食、喫煙飲酒。健康意識が低いままここまで行き着いたが、今のままでいいはずがない。
「ボロボロ血管でも、裂けたり破裂したり詰まったりしなければ平気で生活できますが、それは『時限爆弾を持ったまま生きている』も同然。それでも飲んだり食べたりできるのは、『運がいいだけ』です」
「血管が若返る」と主張する医師は多い。しかし渡邊氏はそれを一蹴する。
「動脈と静脈の中膜は『平滑筋』という筋肉で構成されているので、筋肉=鍛えれば強くなるイメージを持ってしまうのかもしれません。筋肉自体は鍛えれば強くなりますが、問題はこの平滑筋をどう鍛えられるのか。トレーニングして体の筋肉が太くなることが血管にとってプラスになるか、エビデンスはないのです」
では、ボロボロ血管はもはや手遅れなのか‥‥?
「あきらめるのは早い。注目すべきが『血液』です。血管はよみがえらないけれど、血液は変えられる。くたびれた水道管にきれいな水を流すのと汚水を流すのでは、どっちが長持ちすると思います? きれいな血液が流れていれば、ボロボロ血管を『長持ちさせる』ことは可能なのです」